はみんぐデイズ 23
「ウチの魔法は知っとるやろ?」
「確か<操>でしたよね?」
「そう!それでこの紙を操るんや!」
もしかして今のはギャグ?
あたしはどう反応したらいいんだ!?
@ツッコム
A流す
選択肢は二つに一つ!
ええい、あたしはAに賭ける!
「でも確か先輩の<操>は鳥しか操れないんじゃ…」
「ウチがいつそんなこと言った?」
いえ、自己紹介の時にばっちり言ってましたが。
「そうやったか?まあ、いいや。ウチは生物やったら鳥さんしか操れんけど、物やったらいろいろ操れるんや。大きさによるけどな」
流す作戦は成功だ。
先輩はギャグのつもりはなかったらしい。
よかった〜ツッコまないで。
ツッコんでたらあたしどうなってことか…
考えただけで恐ろしい。
「というわけで早速行くで〜行け、10枚の紙さん!」
「えっ、いきなり!?」
先輩の手から飛び降りた紙達はものすごいスピードであたしに迫って来る。
魔法が間に合わない!
殺られる!
ぺしぺしぺし…
ぺしぺしぺし…
あたしは確かに人型の紙の攻撃を喰らっている。
でも全く痛くない。
というかなんかムカつく!
肉体的ダメージはないけど、精神的ダメージがとてつもなく大きい。
相手は先輩だけど、怒っていいよな?
あたしは紙の攻撃を無視し、意識を集中して、クリス先生に分けてもらった残り少ない魔力を身体中に巡らせる。
『我が右手のとこしえの戒め
其は悠久の閃きなり
我が左手のうたかたの邂逅
其は絶海の理なり
煉獄に惑いし影よ
我の行く手を阻むもの全て焼き払え!』
『炎獄の詔』
あたしにまとわりついていた人型は一瞬で全て灰と化した。
「『風』属性なのに炎を操るなんて…皆月ハリ、あんた一体何者や…?」
あたしはその質問に答えられなかった。
あたしにも何が何だか解らなかったからだ。
あたしはあんな魔法を使おうとしたわけじゃない…
一体あたしの魔法って何なんだ…?
そんな疑問が浮かびながらも最初の戦闘訓練は終わりを告げた…
そして…あたしはいつの間にか眠っていたらしい。最後に見た青い空が、どこかの部屋の天井になったからだ。
「……ん、あれ…あれ!?」
ガバッと起きて、あたりを見回すとそこは保健室だった。
「あら、やっと起きたわね」
あたしが大きな声を出したから気付いたらしく、クリス先生は何かの書類から顔を上げて微笑んだ。
「ほんと1日に二回も魔力切れを起こす魔法使いなんて、見たこと無いよね〜」
「わ、ヒナ!?」