はみんぐデイズ 22
あたしは<歌>だからな…あまり1対1は得意じゃないんだよな…。
「もう。ハリってばどこに行ってたの?」
「お?ちょっとエリカ先輩に会いに行ってた」
途端にヒナから声がかかる。
「私と実戦あたると良いね♪」
「いや…遠慮しとくわ…」
たぶん…ヒナは手加減しないしな。あたしだったら殺される…。
「ではまず第1戦。
椎葉vs朝月!!」
ヒナがいきなり呼ばれる。相手は強そうだな…。やっぱり、第1戦で皆にお手本って感じなのかな。
「じゃあ…30秒ノックアウトで行ってくるね♪」
颯爽と戦場に向かうヒナ。ヒナのあの自信はどこから来るのだろうか…。30秒とか…。
「では、始め!!」
八坂先輩のコールがかかり、戦闘が開始する。
相手と間合いを取りつつ、牽制するヒナ。
「さて、…風壁…」
ヒナの回りに竜巻が発生し、ぐるぐると渦を巻き始めた。
相手は、竜巻のせいでヒナに近付くことが出来ず、戸惑っている。
竜巻が5個ほど出来たとき、渦の中心でヒナが笑った気がした。
「風壁…風神♪」
一斉に竜巻が相手へと襲い掛かる。
『きゃぁぁ!!』
相手はいとも簡単に崩れ去った。
つか…強すぎ…。
「朝月、8点!!」
「え〜?なんで?」
「余裕見せ過ぎや。相手に失礼」
「あ…そっちですか…」
8点という数字が不満なのか、頬を膨らませ歩いて来た。
「ちぇ…無傷で狩ったのに…」
ん?狩ったのに…?おいおい狩るんじゃねぇだろ!!
「よかったじゃん、勝ったんだしな!」
「ん…まぁ狩ったから良いか…」
自分の納得の出来る状況じゃないとダークヒナちゃんになるんだよな…。
「次、佐上vs柱谷!」
次々と組み合わせが発表される。
ヒナは拗ねてアップルパイ食べてるし…。黒いオーラ全開で振り撒いてるし…。
「次、皆月vs八坂!…まぁ、ウチが相手♪」
「…は?」
そのままその場所で固まるあたし。
いや…なんで相手が先輩…?陰謀か…?
「ほら、はよ来い!鳥さんに食わすで?」
軽く食人宣言をしている八坂先輩。
むぅ…こうなったらやるしかないのか…。
内心やりたくない度全開だが、思い切ってステージに立った。
「やっぱり先輩は鳥を戦いに使うんですか?」
「はあ!?ウチがかわいい鳥さんを戦いに使うわけないやろ!」
いや、先輩…さっきと言ってることが……
「ウチが今回あんたとの戦いに使うのはコレや!」
先輩の手の上に乗っていたのは…
「紙…?」
そう、先輩が持っていたのは10pくらいの大きさの人型の紙だ。
「皆月、式神って知っとるか?」
「聞いたことはありますけど…まさか先輩は式神が使えるんですか?」
「いや、使えん」
使えないの!?
じゃあその紙は何!?