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はみんぐデイズ
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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はみんぐデイズ 19

しかしその瞬間、あたしは左手が濡れている感触があった。
不思議に思って左手を見ると、


さっきの小学生があたしの隣にいるんだけど…


「ギャーー! オバケーー!?」
「………失礼です」
「うふふ、ラムネさん、こちら皆月ハリさん、あたくしの知り合いよ」
ラムネさん。
そう呼ばれた小学生はあたしをじぃっと見ると、ぺこりと頭を下げて挨拶した。
「………騎士小路ラムネ」
そして瞬時にエリカ先輩の方に向き直る。
「………エリカ、交代」

「あら、そうだったわね。じゃあ名簿預かるわ、あ、そうですわ。ハリさん、『水』属性の訓練の見学をするならラムネさんと一緒に見てて下さらない? ラムネさんったらたまに風で飛ばされていなくなってしまうの」
風って。一体どれだけアンビリーバブルなんだこのラムネちゃんって。
まぁガキはあんま好きじゃないけど、エリカ先輩が言うなら仕方ないな。
「分かりました」
まぁ、こいつもただのガキじゃなさそうだけど…。

ってなわけで、あたしと騎士小路先輩は少し丘っぽくなっている所に座って『水』属性のレッスン2、火の輪くぐりを見学し始めた。
どうやら魔法の制御力を見るためのものらしく、『水』属性の魔法を輪に通し、火が消えると減点…みたいな方式らしい。
「………」
「……」
うーん。
なんだか、嫌な沈黙だなぁ。
ちらりと横目で騎士小路先輩を見ると、またなんとも眠そうと言うか、つかみ所のない顔してるわけだ。
不思議なイメージがあるが、あと紫色の髪だったり、それで右目を隠していたりなど、謎が謎を呼ぶってな具合に不思議度UP。
しかもいつの間にか目ぇ合ってるし。
「………なんですか、皆月さん」
「あ、いや、なんか可愛いなぁて」
いや、なに言っとんじゃあたしは。
しかも表情変わらねー。
「騎士小路先輩て飛び級なんすよね、すごいなー」
「………ちゃん」
「は?」
何か言ったようだが、聞き取れなかった。
「………ラムネちゃんで良いです。もしくはラムネと」
「えと…」
いきなり言われてもな。
「………この苗字…いえ…苗字で呼ばれるの…嫌いなんです」
「へ、へぇ…じゃあラムネちゃん、でいいかな」
「………はい」

なんだろう。
なんとなく訳あり臭プンプンだろこりゃ。
飛び級っ娘にも色々あるのかもな。
「じゃああたしもハリちゃんで良いよ」
「………?」
「いや呼び名さ。あたしがラムネちゃんって呼んでんのに、ラムネちゃんが皆月さんじゃなんか上下関係っぽいじゃん。なんかそこあやふやだから、あたしもハリちゃんで良いよ」
いや、実は物凄ーく恥ずいんだけど、ここは言っておかないと雰囲気重くなりそうだからな。
「………ハリちゃん」
「なぁにラムネちゃん?」
あたしがふざけて返事すると、ラムネちゃんは少しだけ笑ってくれた。

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