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はみんぐデイズ
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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はみんぐデイズ 18

しかしいざ足を踏み入れると、すぐにエリカ先輩を発見した。
エリカ先輩は少し離れたところで『水』属性の訓練を見ているようだ。
「エリカ先輩、こんちわー」
「あら? ハリさん? こんなところまでどうしたんですの?」
エリカ先輩は一瞬驚いた顔を浮かべながらも、笑顔で迎えてくれた。
「いやぁレッスン1で頑張りすぎちゃって、ちょっと休んでます」
「あら、大丈夫でして?」
「ええ、なんとか。クリス先生に魔力入れてもらいましたから」
エリカ先輩は心配そうな顔をしたがクリス先生の言葉に表情を緩めた。

やっぱクリス先生は信頼が厚いみたいだな。
「それなら安心ですわね……それで『水』属性の戦闘訓練を見学に?」
「そんなとこっす」
「まぁ嬉しいわ。でも、こんな場所ではお茶も用意出来ないわ」
「い、いや、お気遣いなく」
こんな訓練所の真っ只中でお茶出されてもなぁ?
「そう? じゃあ今度あたくしの家にいらっしゃいな。最近、良いお茶が手に入ったの。私が淹れる粗茶ですけど、ご馳走いたしますわ」
うお、お呼ばれされた? あたしお呼ばれされた!?
「あ、いや、どうもです〜」
なんだこのキャラ違いな敬語は。
やっぱ敬語はムズイよ。
「でもエリカ先輩こそ何でもこんなところに…教える側なんじゃ」
「え? あぁ、そうですわね」
エリカ先輩は言いながら、『こちらへ』と手をスッと前に伸ばしてから歩きだした。あたしもエリカ先輩の横に並ぶ。
「実はあたくしは今まで試験管ではなくて、一応監視役として全属性の訓練を見て回っておりましたの」
「え、じゃあ『水』属性の試験官って」
その瞬間、あたしの視界の先で岩が一つ砕け散った。
あ、やっぱ全属性ともレッスン1は岩動かしなんだ。
って岩砕けたじゃん!?
「凄い…10点だ」
しかしエリカ先輩は小さな笑みを浮かべた。
「10点? あぁ、シノさんは少し甘くつけますからね」
「え? どういうこ――」
分からないことを言うエリカ先輩に尋ねようとした瞬間、やけに澄んだ声があたしの声を遮った。
「長瀬 マキ………7.85点」
それはあたしたちの近くで生徒の名簿を持っている…あれは小学生? が言った言葉だった。
「あら、相変わらず辛口ね、ラムネさんは。9点くらいかと思いましたけれど」
「え…」
あれが『水』属性の試験官!?
なんか見た目、ただのロリ…いや、小学生なんだけど。
てか、ランドセル背負ってるよ!?
おかしいだろ!
「どうかしまして、ハリさん?」
「え? いや…いやいや、あれ普通に小学生じゃないですか! ランドセルも!」
するとその小学生がこっちに振り返った。
げっ、なんか目つき悪ぃ…気がする。
「彼女、飛び級生ですの」
するとそのエリカ先輩の言葉と共にその小学生はいきなり姿を消した。
「なっ!? 飛びきゅ…瞬間移ど…飛び…瞬…」
あたしは訳が分からなくなって、エリカ先輩と小学生のいた場所を交互に見た。テンパってんなあたしー。

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