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はみんぐデイズ
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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はみんぐデイズ 16

というわけで、あたしはこの課題にふさわしい詞を考える。
詞はいつもインスピレーションで決まるんだ。

よし、決まった!

決まったばかりの詞に魔力を乗せて唱える。


『其は西方の風
 
 其は東方の蝕
 
 其は南方の環
  
 其は北方の夜


  我 汝に求む

  我が前に立ち塞がりしあらゆる災厄を薙ぎ払わん事を!』


あたしの唱えた詞が魔力に乗って巨大岩と相対する。

「ぐっ……!」

ありったけの魔力を注ぎ込むが、岩は動く気配を全く見せない。

あたしはこのまま岩を動かせないのか!?

「……っ!」

そう思った時、岩が微かに動いた。

このまま行けば……!

しかしそこまでだった。
あたしの体から力が抜ける。
魔力を使い切ってしまったのだ。

「皆月 ハリ、3点!」

あたしは八坂先輩の声を聞きながら眠りに落ちていった……

…のだが。
「ぐえっ」
あたしは次の瞬間、脇腹に強制帰還を命じる蹴りが入ったせいで眠りの世界から引き戻された。
「コラ皆月ハリ! 魔力使い切ってから寝たら死ぬからなー」
どうやら八坂先輩に蹴られたらしい。っつか、別に蹴らんでも!
「皆月ハリー、起きたかー?」
「うーん…は、はい…起きましたぁ…」
くそー、まだぼんやりしやがる。貧血になった時みたいだな。
「ふむ、鳥さんGO!」
八坂先輩が何かに命令して…って何か飛んできたし!?
「ぎゃーー!ついばむなー!くすぐって〜!!」
「よし、起きたな」
とか何とか言って八坂先輩はその場から去り、帰ってきたと思ったら、クリス先生を連れてきていた。
「西園寺先生、宜しくお願いします。魔力切れです」
「あらあら、分かったわ」
クリス先生は綺麗な顔をさらに微笑みで彩り、返事をした。
「じゃあ皆月ハリ、私は訓練に戻るから、レッスン2まで休んどけー」
「あ、はい、分かりました」
なんだか少し罰が悪かった。『風』属性の生徒みんながこっち見てるし。

「まったく、君は少々問題児気質があるのかな? まぁいい、じゃあ次行くぞー! コラー朝月ヒナ! 何時までも笑ってるな! 明日は我が身だからなー!」
そして八坂先輩は訓練に戻って行った。
「ふふ、相変わらず元気ね、シノさんは」
「ははは…」
何だか乾いた笑いしか出んわ。
でも確かに新聞部って感じのバイタリティを持ってると思う。
「あら、そう言えば魔力切れよね?」
クリス先生は思い出したように言うと手をそっとあたしの胸の上に添えた。
「<清>の力を使ってもいいけど、直接送った方が早いから、そうするわね」

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