はみんぐデイズ 15
「にゃ?私?」
ヒナが1番手か。
そういやヒナが風を駆使するときなんて滅多に見ないし、見物だな。
「じゃあ私も壊そうかな♪」
「…は?」
「私も負けてらんない〜♪」
いやいやヒナさん…壊すって…お手本じゃん。動かすだけで良いんだよ!!無理しないで!!
「くぉらー!!朝月早くこーい!!」
「ん?じゃあ行ってくるね♪楽しみにしててね♪」
そう言ってヒナは前に出た。
「では、朝月ヒナ、始め!!」
ヒナのレッスンが始まった。どうやってヒナは岩を壊すんだ…。
「ぐるぐるー♪」
何やら楽しそうに腕回してるけど…。
ヒナは一体何を?
と、考えたその時。
びゅうう…
突風が吹き始めた。
よくよく目を懲らすと、ヒナの回した腕の起動に沿って風の円が出来ていた。
フリスビーみたいな…。
「ピッチャーヒナ、振りかぶってぇぇ…」
風の円を動かし、投げる体制になる。
野球で言うとサイドスローな感じ?かな?
「投げましたぁー♪」
ヒナの腕から放たれた風の円は、カーブを描くように岩に突っ込んでいく。
そして、ズズン…と言う音とともに岩が真っ二つに割れた。
本当に壊したよ…。
「朝月ヒナ!!10点!!」
「やたー♪」
満面の笑みで戻ってくるヒナ。よっぽど上手く行ったのか、ルンルン気分。
「もうースパッと斬ってきましたー♪」
「さすがC級、良いなー…」
「大丈夫だよ♪ハリも頑張って!」
あれ?ヒナが応援してる…。なんかちょっと感動…!!
ヒナが見事に岩を真っ二つにした後、次々に名前が呼ばれて、生徒達は岩を動かす訓練に挑戦していった。
岩を全く動かせない者からちょっとだけ動かせた者、かなり動かせた者までいたが、さすがにヒナみたいに岩を真っ二つにできる奴はいなかった。
やっぱりヒナはスゴいなー
「………月、皆月!皆月ハリ!!」
「…へ?」
「なに呆けた声を出してるんだ。次はお前だ。早くしろ」
「は、はい!」
どうやらあたしは他の人の観察に夢中になっていて、八坂先輩に呼ばれていたのに気付かなかったようだ。
あたしは100キロの岩の前に立った。
人前で魔法を使うのは恥ずかしいけど、ここまできてやめたりしたら女が廃る!
あたしは両手で頬を二回叩いて気合いを入れた。
「よしっ!」
両の掌を前に伸ばして体内の魔力を練り込む。
あたしの魔法<歌>は練り込んだ魔力を上手く詞に乗せないと発動しない。
しかも詞はなんでもいいっていうわけじゃないんだ。
どんな言葉にも多かれ少なかれ力がある。
でも詞となる言葉は限られている。
だってそうだろ?
すべての言葉で魔法が発動したらあたしはしゃべれなくなっちまう。