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楽恋鉄路旅情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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楽恋鉄路旅情 9

いゃ、ほんとにそういうの無しですから。ね。
車窓には一面の田園風景と遠くにはちょっとした山が見える。線路がまっすぐなのだろうと思うが、まっすぐに進んでいることは確かだ。
僕は直江津で買ったペットボトルのお茶を飲んだ。緑茶のはずだが茶色いお茶だ。新潟で弁当にありつくまではとりあえずせんべいでも食べて過ごそうと思う。
あぁ眠いかも。
胃の中がかったるい感じがするからとりあえずせんべいを食べないでいよう。しかし昨日、彼女にせんべいを食べられてしまったからせんべいはもうなかった。残念だ。
だんだんと意識がもうろうとしてきたのでうとうとしていたら・・・。

ー しばらくしてー
どうも寝てしまったみたいだ。時計を見ると、8時8分で、あと6分で新津に着く。相変わらず彩香は寝ている・・・と思ったら、あれ?彩香がいない。まあそのうち戻ってくるでしょう。
ー鉄道唱歌ー
「えぇ、まもなく新津に着きます。新津から先は終点新潟まで快速列車となりますので自由席の方はなるべく詰めていただきますようご協力お願いいたします。まもなく新津、新津です。」
ー鉄道唱歌ー

彩香はまだ戻ってこないが、混むのでとりあえず荷物をまとめる。
新津に着くと、なんだか本当にたくさんの人が乗ってきた。そんなに本数の少ない区間ではないから多分この列車目当ての通勤客だろう。
もちろん僕の周りの席もみんな満席。彩香が来たらほぼ確実にキレるね。とかなんとか考えていると
「ねえ、あなたどこから乗ってるの?」突然目の前の人が話しかけてきた。
あ、
なかなかの美人ですなぁ。
「ねぇ、聞いてる・・・?」
「あ、すいません。いや、僕は大阪からですよ。」めちゃくちゃ嘘です。
 
「ふーん、そうなの。ずいぶん遠いのね。何しにきたの?」
「うぅ・・・、ちょっと旅行ですかね。」
「そぅ、私なんか新潟で仕事だからね。別に何もないけど。東京よりは・・・」とりあえずこんな世間話をしてると車両の間のドアが空いた音がした。
何かいやな予感。
あ、彼女かなり怒ってる。あの顔は間違いないでしょう。マズいね。睨んでます。怖いね。
もう車窓も何も関係なくなってきた。早く新潟についてくれ。
ー10分後ー
とりあえず「きたぐに」は新潟に到着した。僕は彼女の荷物も持ってとりあえず降りる。
「や、やぁ。な、なんだかやたらと混んでたね。ははは。」まずい、完全にすねてます。
「・・・あの女、ブッ○してやる・・・」
お姉さん、なにか怖いことおっしゃいませんでしたか?目が怒ってますよ。まあ多分私の空耳だと思いますが・・・。
「じゃぁ、次行こうか?」
「あ・な・た・もねぇ、あんな女といちゃいちゃして・・・今度もしこんなことがあったら・・・」きっと僕は生きていられないでしょうね。
「すみません。お姉様。」
「わ、わかればいいのよっ。」
こうして僕は日本海の花と散らずに済んだのである。

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