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ケイとみんなとパラレルな事情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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ケイとみんなとパラレルな事情 2

「……嘘だろ」
制服を見て嫌な予感のしたケイは自分のタンスを全て確認して脱力した。
私服から下着まで全て女物だったのだ。
「お姉ちゃん、早くしないと遅刻しちゃうよ〜」
部屋の外から聞こえる智香の声にケイは返事をすると溜息をつきながら制服に着替え部屋を出たのだった。
ケイは智香と歩きながら自分の状況を考えていた。
(なんで女になってんの!?why?というか、始めから女だったことになってるし!!!)
智香が話しかけてきても、「あ゛ー」とか「う゛ー」とかと返事を返すばかりだった。
「ねぇ、お姉ちゃん聞いてるの!?」
「う゛ー」
校門の近くまできたとき俺は意を決して智香に聞いてみることにした。
「智香」
「なに?お姉ちゃん」
「俺が…」
男だったこと覚えてる?と続けるつもりだったが、
「キャー!ケイお姉様ー!」
という声でかき消された。声がした方を見ると数人の女の子たちがすごい勢いでこちらへ走って来る。その光景にと恐怖を覚えた俺は智香の手をとりスカートが翻るのも気にせずに逃げだした。
「キャー」「是非私を妹に」「抱いてー」とか聞こえたが今は無視して逃げる。

「ハァ、ハァ、何なんだ、あれは、一体…どんどん増えてくるし…」
俺はそのまま昇降口まで走って来たのだった。
「アハ、毎日毎日すごいねーあの人達」
靴を履替えながら事も無げに言う智香。
「…………」
何も言えない俺に智香は不思議そうな顔を向けていた。

 その後、智香と別れた俺は教室のドアの前に立つ。俺は気合を入れ直しドアを開けた。
 
「ケイちゃーん!」
叫び声と共に向かってきたのは俺のよく知る人物『中嶋幸司』だった。
「う、うわあぁっ!!」
抱き着いてこようとする幸司に俺はヤツの顔面に思いっきり、渾身の力を込めて拳を叩き込んだ。
「いきなり何しやがる! 朝からキモいぞ、幸司」
「うーん、今日の愛情表現も激しいなぁ……」
何か空恐ろしい事を呟きながら目の前で倒れた幸司をクラスの女子が引っ張っていったのだった。
「おはよ、ケイ。あんたも朝から大変ねぇ、あはっ」
肩で息をしている俺に声をかけてきたのは同じクラスの『朱鷺塚香織』だった。

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