PiPi's World 投稿小説

空はいつまでも…
恋愛リレー小説 - 少年/少女

の最初へ
 8
 10
の最後へ

空はいつまでも… 10

いつも、穏やかな物腰の今日子さんの語尾が、今は強く感じる。
「今日は、店長が上がりなさいって…お疲れ様」
えっ……用済みって事?
オレはいらないという事なのか?
「今日子さん、今日は暇だから帰れって事なんでしょう?」
そうだと言ってくれ、今日子さん。
「今日は、疲れたでしょ?ゆっくり休んで」
何かが、崩れたような気がした。
自分は誰にも、必要とされていないのか…
「…じゃあ、上がります」
オレは更衣室に行くために、出ようとした。
「ごめんね、恭一」
消え入りそうな亜由美の声が聞こえた。

オレは、それに答える力が残っていなかった。
店を裏口から出ると麻ちゃんがいた。
「あれ、もう上がりなの?」
出来る限り出せる力を振り絞った。
「えっと、先輩を待ってたんですよ」
麻ちゃんが、オレに笑顔を向けてくれるが、今はその笑顔が煩わしく感じる。
「昨日は、本当にありがとうございました。
今日は私が、どこかに案内しますよ」
こっちですと言って麻ちゃんはオレの手を引っ張った。


麻ちゃんは、オレをどこにでもありそうな公園に連れてきた。

辺りは、暗くなっていて公園には、オレらを除いて誰もいない
「わぁー、ブランコなんて久しぶりですね!
先輩、一緒にブランコで遊びましょう」
いや、全くもってそんな気分じゃないのだが…
「うーん、また今度にしておくよ」
「そうですか?面白いのにー」
麻ちゃんはそう言って、頬を膨らます。
オレは、ボーっと麻ちゃんの乗るブランコの揺れを見ていた。
「あのね、私がいつも、失敗したりすると先輩がいてくれた」
急にどうしたんだ?
「私は、先輩の事が大好きです…だから、力になりたい」
ふーん、好きなんだ。
えっ、オレのこと?


「私を、先輩の女にしてください!!」

はいーーー!?

生まれて初めて、女の子に告白された。
どうしたら、良いのかわからないオレは、亜由美は今、何をしているのかと失礼な事を考えてしまった。


家に帰ったオレは、亜由美に謝るため、亜由美の部屋に行って謝った。
そしたら、亜由美は
「私もごめんね。平手打ちする気なんか、本当はなかったの」
独り言のようにボソッと亜由美は
「気に入らなかった…もっと、私を見て欲しかったの」
はあ?麻ちゃんと良い亜由美と良い…何があったんだ。
「何言ってるんだよ。
いつも、お前の事を見てんだろう。バッカだなぁー」
っと、つい頭をポンっと叩いてしまった。 
反撃がくると思ったが何と亜由美は照れているのだ。
「おいおい、どうしたんだよ」

SNSでこの小説を紹介

少年/少女の他のリレー小説

こちらから小説を探す