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空はいつまでも…
恋愛リレー小説 - 少年/少女

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空はいつまでも… 9

今のポジション…皿を下げに行きながら洗い場。
それに比べ亜由美のすさまじい働きぶりには、驚きを隠せなかった。
ダメキャラのオレとは違って、仕事の飲み込みは早いし、何しろ明るい。
「アハハ……亜由美は仕事が出来て、オレはこのザマか」
もう笑うしかなかった。
笑っていると、だんだん視界がぼやけて涙が溢れ出してきた。
「くそー、涙がしょっぱいぜぇ」
今は、洗い物に集中だ。
それにしても、さっきから何でオレの目から涙が出てるんだ?
「今日は失敗はするし、泣くわで良い事ないぜ」

「先輩、さっきからブツブツとウルサイですよー」
声に反応して、オレは振り返った…麻ちゃんだった。
「えっ……泣いてるの先輩」
しまった!!
今のオレの顔は人に見せられるものじゃない!!
「いや、泣いてないから!!」
そう言って、オレは麻ちゃんに背を向けた。
「泣いてないなら、先輩の顔を見させてくださいよ」
「それは、無理だ」
ごめん、こんなダサい所を君に見せるわけには出来ない。
「なんで、そんなに意地を張ってるんですか?
私じゃ、頼りにならないですか?」

頼りになるならないという問題ではないような気が…
「私は、先輩の力になりたいんです!」
麻ちゃんは、一度深呼吸をし、そして……
「だって、先輩の事がすっ…」
麻ちゃんは最後までその言葉を言えなかった。
何故なら、目の前に亜由美が現れたのだ。
「恭一、店長が私と一緒に休憩取れだってさ!」
そう言うと、亜由美はオレの腕を取り休憩室までオレを引っ張った。


気まずい…
今、オレは休憩をするために休憩室で椅子に座っているのだが。
今日、朝っぱらから喧嘩をした亜由美が目の前で椅子に座っているのだ。

正確に言うと亜由美が、オレの頬を叩いただけなので喧嘩という表現が合っているかはわからない。
なんだか、亜由美を見ていると、つい、厭味の一つでも言ってしまいたくなる。
えっ、『何で』かって?まぁ、それは本能だよ本能。
でも、今日オレが悪かったのは、確かだから謝らないと。
そう思ってたのだが。
「それにしても、今日の恭一って、ダッサダッサだね」
はぁ?なんて言ったんだこの女は…
「今朝、あんだけ偉そうに言っときながら失敗ばかりで…使えない人だったのねキョウちゃんて」

「うるさい!今日は、たまたま精神が不安定だったんだよ!!」
「へぇー、精神が不安定だったのは私の平手打ちが効いたのかしら?」
「うるさい!うるさい!オレは、オレは!!」
本当は言いたくない。
このままだとダメだ…
また嫌われてしまう事を言ってしまう。
その時だった。
休憩室の扉が開いた。
「さっきから、あなたたちの声が外から丸聞こえよ!」
えっ、今日子さん!?
「恭一君!」

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