PiPi's World 投稿小説

空はいつまでも…
恋愛リレー小説 - 少年/少女

の最初へ
 13
 15
の最後へ

空はいつまでも… 15

「うるさい!お前と喋っている時間なんてないんじゃ!!」
オレはダラダラと喋る親父に苛立って親父の胸倉を掴んだ。
「若いって、良いなぁ。暴力で物事が片付くと考える節があるからな」
「キサマッ!!」
「亜由美ちゃんは、もうこの家にいない…」


えっ??
「おい、お前!なんて、言ったんだよ!!」
「そのままの意味だ…これでも、読んで頭でも冷やせ」
親父は、ポケットからオレ宛ての封筒を出した。
差出人は亜由美だ。
「そんなモノ、いるか!ハゲ!!」
そんなモノより、亜由美が欲しい…ずっと傍にいてほしい
「オレは、まだハゲてない。それに、これはあの子がお前のために書いたモノだ。
だから、お前には、それを受け取る義務がある…」
オレは舌打ちをして、その封筒を取り、家を出た。
自転車をこぎながら、オレは携帯で麻ちゃんに電話をした。
「もしもし、伊藤です」
「オレだよ。麻ちゃんオレだよ」
「先輩、オレオレ詐欺ですか?」
「あっ、ごめん。恭一だよ」

「気にしてないですよ。どうしたんですか、先輩」
「答えを君に言おうと思って」
「はい」
「オレ、亜由美の事が好きだ。だから…」
「良いです。わかってますから…
亜由美さんの事、離しちゃダメですよ」
「わかった」
オレは電話を切り、自転車のスピードを上げた。

大事な人を離さないために…
後悔をしないために…


結局、亜由美は見つからなかった。
一日中探しまわっていたが…見つからなかった。
「オレ、何もアイツにしてやってないよ!!」
オレは泣きじゃくりながら、自転車をこいでいた。
「突然来て、突然去って行くんじゃねーよバカ!!」
あんまりフラフラと運転していたからなのか…バランスを崩してこけた。
自分が情けなくて仕方がなかった。
「もう、嫌だ!!」
何もかもが嫌になった…
見栄を張っていた自分
亜由美を見つけ出せなかった自分
麻ちゃんを振っておきながら何も掴めなかった自分
何よりも自分の気持ちに気付けなかった自分が嫌で仕方なかった。
ドコかで亜由美が目の前に現れる事を望んでいる自分が情けなかった。
「亜由美…亜由美…亜由美ぃー!!」
どれだけ、大好きな人の名前を叫んでも、その人はいない…
ただ、大好きな人がそばにいて欲しかっただけなのに。
その願いは、届かなかった。

SNSでこの小説を紹介

少年/少女の他のリレー小説

こちらから小説を探す