空はいつまでも… 13
翌日
オレは、朝からエロ店長のパシリとして花火大会の準備をしていた。
大体、大会っていう事は競うのか?でも、そうじゃないみたいだしな。
エロ店長が呼び付けるのが、あまりにも朝っぱら過ぎたので、亜由美の顔を見ていない。
「なんか、会いたくなってきたな亜由美に……」
えっ、何を言っているんだオレは!!
「八島ぁー、こっち手伝え」
エロ店長がオレを呼んだ。
オレは、さっきの雑念を払うかのようにエロ店長の手伝いに集中した。
夕方、バイトのみんなは花火大会のため、店に集まりだした。
「先輩、どうですか?似合ってますか??」
麻ちゃんが、浴衣を着てオレの所にきた。
麻ちゃんの浴衣は全体的に紫色で統一されてあって絵柄の花が『すみれ』というちょっと、背伸びした感じだ。
「似合ってるよ。すみれが良い感じだね」
「私もこの浴衣の『すみれ』が、気に入ってるんですよ」
なんか、物凄く喜んでるぞ。
うーん、女の子というのは良くわからん!
「恭一」
おわ、いきなり横にいるんじゃねよ亜由美!
びっくりしたじゃないか……えっ?
「お前、なんでなんだよ」
なんで、浴衣を着てないんだ!!
「恭一!ごめん!!」
亜由美はいきなりオレに頭を下げた。
「私、浴衣を着てくるの忘れちゃったの!
さっき、みんなが浴衣を着ていたのを見て忘れたのにビックリしちゃった」
おいおい『ビックリしちゃった』じゃ、ないだろう。
「ホントに、ごめんね恭一」
昨日、この女から感じた優しさみたいなモノは勘違いだったのか…
「いいよ、忘れたのなら仕方ないな」
はぁー、オレはお前に失望したよ。
亜由美は、バツが悪そうにオレから去って他のバイトの子たちの方へ行った。
「オレは、準備をするかな」
オレは、みんなが使った花火を捨てるための入れ物を作るために、バケツに水を入れていた。
「くっそー、一体いくつ作る気なんだよ。エロ店長めっ!!」
只今、バケツは4つまで作った。
だが、あと20個作って店の外に配置しろとか、あのエロ店長が抜かしやがった。
「くっそー、早く帰りたいぜぇ」
最近、心なしか独り言も多くなってきた気がするぜ。
「先輩、私も何かお手伝いしますよ」
麻ちゃんがヒョコヒョコとオレの近くにやってきた。