虐待少女 5
自己矛盾に気が付きながらも、一度やっぱり自分が助けなきゃいけない。そう決意したことは事実で、今更曲げようにも曲げられなかった。それは、身分とか性格とかじゃなく単に男としてのプライドがそうさせた。
しかし彼女は玄関にしゃがみこみ、自分の靴をゆっくりと履きながら、孝平の方は振り向かなかった。
「……はい。私にはやっぱり、そうするしかないみたいですね」
「いや、そんなこと……だから、だから俺が……!」
「いいんです!!……もう、いいんです。自分でも、嫌ってくらい……わかってますから」
孝平は少し前の自分を恨んだ。同情の眼差しをかけ、援助交際を疑った。触らないというのも勝手な自己防衛だ。
ご飯だけ食べさせて家に泊まらせて助けた気になって、何が偽善だ。偽善ですらない、ただの自己満足。
そう思うと今まで拮抗していた孝平の自分の中の考えが突然傾き始め、過去の自分はもう憎むべき存在になっていた。そうしてその過去の自分に対してぶちまけるように。