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同じ空の下で…〜空はいつまでも…2nd〜
恋愛リレー小説 - 少年/少女

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同じ空の下で…〜空はいつまでも…2nd〜 5

「…自分の家で、荷物でもまとめていてくださいよ」
「はーい、わかりました」
僕は美香さんと別れ、学校に行った。


「よっ、小泉!!」
登校中の僕に声をかけたのはクラスメイトの八島恭一だった。
「おはよう八島。
なんだよ、今日は珍しく遅刻せずに学校に来ているじゃないか」
「いやさぁ、ちゃんと登校しないと亜由美がうるさいんだよ」
なんか、八島が僕の顔をジッと見ている。
「あれ、奥さんの美智子様がいないじゃないか」
痛い所を突かれた。
八島は女心は鈍感なくせして変な所で勘が鋭い。
「いやさぁ、今は…」
「いや、言いたくないなら、言わなくて良いんだぜ」
八島が僕の言うことを遮った。
「八島。お前って…」
本当は良い奴だなと続けたかったのが…
「何だ。その手は」
八島が僕に手を差し延べている。
「口止め料の1万円」
僕は、この男が一瞬でも善人だと思ったのが間違いだった事に気付いた。


教室に着いた。
いつもは、何でもなかった教室のドアが仰々しく見える。
みっちゃんと僕は同じクラスだというのが今は、悲しい。
「………みっちゃん」
覚悟を決めた僕は教室に入ろうとした。
「小泉。早く入れよ」
八島が、いきなり僕の背中を押したのだ。
背中から来る力の勢いに逆らえない僕はそのまま教室の中へと倒れ込んだ。
教室の中にいた生徒たちが静まり返った。
だが、すぐに歓声がわいた。
「だっせーぞ!小泉!!」
ゲラゲラと笑うんじゃないクラスメイト男子A。
「ホントだよなー、お前って運動が得意なくせしてドジが多いもんなー」
同調するなよ、クラスメイト男子B。
「くそ、お前のせいだ!この小悪党が!!」
もちろん小悪党とは、八島の事である。
「アハハ、まぁ良いじゃないか教室が笑いに包まれたんだから」
全く、人をダシにして笑いをとる奴は最低な奴のする事だ。
「ホント、アハハじゃないよ…これじゃ、みっちゃんに恥をかいちゃうじゃないか」
みっちゃん……みっちゃんはもう登校しているのかな?
みっちゃんがいつもいる窓側の席を見た。
「みっちゃん。いた…」
僕の身体は勝手にみっちゃんの席の方へと動いた。
だが、僕が近付いた途端みっちゃんは席から離れた。
「もしかして、避けられている?」
どうしようもない空しさが僕を襲った。
あれだけ、仲が良くて互いを求めていた時間が今は、ただ遠い出来事に感じて仕方がなかった。
「こりゃ、激しいなー。オレも何か手伝って…
おいおい、泣いているのか?」
八島が僕の顔を覗く。
「うるさいよ」
ただ、僕は呟いた。


僕は授業中もみっちゃんを見ていた。
僕は今でもみっちゃんが好きだという事に変わりはなかった。

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