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同じ空の下で…〜空はいつまでも…2nd〜
恋愛リレー小説 - 少年/少女

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同じ空の下で…〜空はいつまでも…2nd〜 3

さっきまで、女の人だと気付かなかった。
「うん、一緒にいるから落ち着いて」
「うん」と頷いて、彼女は僕に身を任せた。

彼女を掴んで僕はなんとか浜まで辿り着いた。
「疲れたー」
僕は地面に寝っ転がった。
「僕、生きてる」
女性が『僕』と言っていたが、何故か気にはならなかった。
「うん、生きてる」
僕が答える。
「生きてるよー」
彼女は、空に手を掲げた。
これが僕と彼女の出会いだった。
僕は、この時何かをなくしたのと引き換えに何かを得ていたなんて、わかってなかった。

「あなた名前は、何て言うの?」
彼女が僕に質問をしてくるが僕は段々、意識が朦朧としてきた
「さ、寒い」
震えが止まらない。
「寒い?へぇー、変わった名前だね」
僕はあまりにも寒すぎたため倒れた。


目を開いたらそこには、みっちゃんがいた。
僕は一目散にみっちゃんに走った。
みっちゃんは、そんな僕を抱きしめてくれた。
「どうしたのマーくん」
みっちゃんが僕の頭を撫でてくれる。
「嫌な夢を見たんだ」
「どんな夢だったの?」
みっちゃんは、こんなにも弱い僕をいつも迎えてくれる。
それが、嬉しくて仕方なかった。
「あのね、みっちゃんが僕を振る夢だったよ」
今、思い出すだけでも悲しくなってくる。
「私が、マーくんを?そんなの有り得ないよ」
そう言って、みっちゃんが僕に微笑んでくれた。
「うん。そうだよね…みっちゃんが僕を振るわけないよね」
「うん。私はマーくんとずっと一緒だよ…」
なんだか、視界がぼやけてきた。

目が開いた。
いつの間にか、アパートに戻っていたらしい。
「あっ、やっと目を覚ましてくれたね」
ニコッと見知らぬ女性が僕に微笑んだ。
思い出した。
暁美海で溺れていた人だ。
「夢じゃ、なかったんだね」
振られたのは現実だという事を思い知らされた。
「そんなのないよ…みっちゃん」
涙が溢れ出した。
「えっ、えっ?どうしちゃったの?僕、何かした?」
女性が慌てていた。
この人を困らせてはいけない気がした。
僕は見られないように顔を下に向けた。
「泣いて良いよ」
えっ……
「何があったか知らないけど、辛い時に泣かない事が出来るほど、人はそんなに強くないよ。」
「でも、泣き虫な男って嫌じゃないかな?」
「良いじゃない泣き虫で…弱くて良いじゃない。
ううん、君は強いよ。だって、君は僕を助けてくれたじゃないか」
涙は止まらなかった。どれだけ願っても止まらなかった。


「僕、香月美香。歳はねー、19歳だよ」
僕は、ベソをかいた後、この女性と自己紹介した。
「僕は小泉正弘。絹井高校一年で16歳です」
「へぇー、年下なんだ。よろしくね、マーちゃん」
いきなり、『マーちゃん』とは驚いたけど。僕は気にしないよう心に決めた。
「よろしく。香月さん」
「ブッブー!!香月さんじゃなくて、僕の事は美香かみっちゃんて呼んでよ」
えっ、みっちゃん!?
今の僕は、どうしても『みっちゃん』と呼ぶ事をためらってしまう。

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