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恋愛リレー小説 - 理想の恋愛

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さらさらとした日差しが差し込む、この部屋の窓は一回割れている。しかも、事故ではない。そして至って閑静なこの住宅地では、その出来事は一番の事件となっている。
 そして、被害者である神山菜々子は、元々有名だった。女優の母を持ち、当然生まれつきの美人。学業の傍らでやっていた雑誌の専属モデルでも人気。まさに、すべてが完璧な美少女だった。
 そんな彼女がモデルを辞めて、一人暮らしをしたいと言い出したのは、その事件が起こる一ヶ月前だった。
計画とは違う答え。
素直で馬鹿正直な菜々子に湊がクスリと笑った。
 カチャ。母が手にしていたフォークをテーブルに戻すと家族の視線は母の方へ行く。
「ねぇ、菜々子。モデルを辞めたいってことは、他に……何かやりたいことがあるのよね?」
母が珍しく真剣な顔付きで喋った。
「も、もちろん……あるに決まってるじゃない!」
「だから、それはなんなんだ」
父親の威厳が芽生えたのか?父はワイングラスを強めにテーブルに押し付けた。
ズシッ。その言葉が胸に突き刺さる。
慌てて出ると、菜々子は長い髪をかきあげた。
「もしもし、菜々子?」
落ち着いた女性の声。
相手は、三原玲子。
菜々子の担当マネージャだ。
 菜々子はしまったと電話を一回耳から遠ざけたが、
「お、おはようございます」
いつの間にか、くせになった業界言葉で挨拶をした。
「あら、業界言葉覚えてたのね」
二人が電話でやりとりするのも久しぶりだった。
 玲子は菜々子の意向をすでに知っていて、ここ数ヵ月は本人の意見を尊重し、元々入っていた仕事以外は断るなど、キープしていた。

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