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恋愛リレー小説 - 理想の恋愛

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「で、急にどうかしたんですか?」
そんなことは、つゆ知らずの菜々子は仕事ないからクビかな。
とちょっと期待していたが、玲子はいたって冷静な口調で
「あ、それがね。明日、急で悪いんだけど。雑誌の撮影入ったのよ」
「はぁ……」
あの事言おうかな。
菜々子はつばをごくりとのみこみ、決意を固めようとしたが、
「辞めたいのはわかるけど、明日は絶対来てちょうだいね」
「えっ?」
そんなこと言った覚えのない菜々子は耳を疑った。
「知って……わ、私言いましたっけ」
クスッ。受話器から玲子の声が漏れる。
「フフッ、アンタはお姉さん思いの、いい弟さんがいて幸せね」
「じゃあ湊が……?」 菜々子は湊が必死に事務所や玲子に休みなしで働いていた菜々子にしばらく休みをくれるよう頼みこんでいたことをようやく初めて知った。
「そうなんですか……」
「最初は売れっ子のアンタが休みなんてって事務所も、それに私も反対したのよ。でも、あの弟くんの熱意には負けたわ」
「…………」
菜々子の胸がチクりと痛んだ。
湊は最初から私にモデルを続けさせようとしていたんだ。
それなのに、私ときたら……。
 菜々子はこれまで湊に浴びせてきた言葉の数々に涙が出てきた。
「それに驚かないで聞いてちょうだいね」
菜々子は目を軽く擦りながら頷いた。
「明日の仕事。●●の撮影なんだけど。あの人気俳優、一場和樹のご指名なのよ」
「ええっ!?」
一場和樹、今人気絶頂の若手俳優だ。
何度か現場で挨拶を交すことがあったが、当然面識はほとんどないって言った方が正しい。
「な、なんであたしなんか」
「〇〇のカタログ見たんですって、ほら例の……」
あぁ…、例って言葉にの菜々子は思わず頷いたが、驚きは止まらない。
「でも、もっと可愛い子。たくさんいるよ?何で?」
「さぁね。アンタがタイプなんじゃないの?」
「はい?」
「フフッ、冗談よ。つべこべ言わず、明日は六時に一度事務所に来てちょうだいね」
「はーい」
「じゃあ、切るわよ」
ピッ。はぁ〜結局、玲子さんに上手く言いくるめられてしまった。
菜々子はため息をつきながらも。
段々嬉しさが胸の奥からこみあげてきて。



バンッ
「ねぇ、聞いて聞いて!」
いたとたってもいられなくなり、湊の部屋をまた無断で乱暴に開けた。
「なんだよ。事務所と話でもついたのか?」
横になりながら、菜々子の無理矢理貸した少女マンガを読んでいた湊は不機嫌そうに起き上がった。

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