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灰色の空
恋愛リレー小説 - 青春

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灰色の空 3

 そんな事を考えながらぼうっとしていると、啓太が「何、ぼけっとしてんだよ。バカ」と言ってきた。
「バカバカ言ってると、あんたもバカになるわよ」
 と、得意げに言って鼻で笑ってやる。啓太に不機嫌そうな目を向けられたけど今は気にしない。
 ガリ勉って罵ってばかり、いるけど、知ってる? 好きだってこと。実験に取り組む凜とした背中を眺めつつため息を漏らす。
 なんで昔みたいに名前を呼んでくれなくなったんだろうか。疎ましい……のかな?
「秋本、実験結果を用紙に書けよ。バカからアホにされたいのか」

「うっさい! ガリ勉」
 よくも、減らず口が次から次へと。
 そんな言い合いをしている間に授業が終わり、今は何となく自販機の前。
「柄じゃないもんなー」
 告白とかさ。もうちょっと可愛い女の子ならば良かったのだろうか。
そうしたら、啓太もバカバカ言わないで、ちゃんと名前も呼んでくれたのだろうか。
 マイナスな考えが頭を巡る。「やめやめ。難しいことなんかわからん!」
 啓太の気持ちが一番わかんないよ……。
「やめとけ、脳細胞が破壊されるぞ。バカ」
「―……っ! あ、あんたいつの間に!!」
 いつの間にか、啓太が私の横にいた。
「面白かったな。バカの百面相」
 と言いがら、ジュースを2本買っていく。
「ほらよ」
「え?」
 啓太が差し出したのは私の大好きなミックスジュース。覚えててくれたんだ。
「あ、ありがとう」

 ぶっきらぼうにお礼を言う。「ミックスジュースまだ好きなんだな。ガキだなガキ」
 全面撤回。やっぱし啓太はむかつく。啓太のせいで悩んだ時間返せ!
「なにおぅ!? あんただって同い年じゃん。ガキ!!」
「へいへい。お前に悩み事なんて似合わないぞ」
 一瞬ドキッとした。励ましてくれているの?
ヤバイ。きっと今、顔真っ赤だ……。


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