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灰色の空
恋愛リレー小説 - 青春

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灰色の空 1

雨が降る
灰色の空
私は泣いた
傘さえ差さずに
そうして誓ったんだ
二度と恋なんかするもんかって――…

朝。私は長年の低血圧の所為で朝に弱い。
だからいつも隣に住む幼なじみの西本啓太(ニシモトケイタ)が起こしにくる。
そして、その日もいつものように彼は起こしにきてくれた。
「起きろよ、秋本っ」
同い年の啓太は成長していくうちに、私を名前で呼ばなくなっていた。

眼鏡を掛けて、昔より頭もよくなって、別人みたいになってしまったけれど、昔からの習慣は変わらないものだ。
「――んぅ…あと10分〜〜」
「バカ、そんな余裕ないから俺が来てるんだろうが、いいからさっさと起きろ」
分厚い辞書で頭を叩かれ嫌でも目が覚める。

「――ったぁ!何すんのよっ!」
私が睨んでもどこ吹く風って感じ。すごいムカつく!
「2分で着替えろ。でないと置いてく」
時計を見ながら部屋の外に出て扉越しに私を待つ後ろ姿。
私は釈然としないまま急いで着替える。
って言っても2分でなんて出来るわけないから取り敢えず急ぐって感じ。
制服を来て髪を梳かしてカバンを掴み――
やっと部屋を出たときには8分は経過してたはずなんだけど。
啓太は不機嫌な顔したまま待っててくれた。

「遅いよ、バカ」
「しょうがないでしょ!2分なんて男子でも無理なんじゃない?ってかさっきからバカバカ煩いよ、ガリ勉君」
「…俺は2分で十分だし、お前がバカなのも本当のことだろうが。…ガリ勉て呼ぶなっていつも言ってるだろうがバカ」
「…バカで悪かったですねーっ。」ベーッと舌を出しアカンベして、それから私は悪戯っぽく笑い「学年一位つねにキープ、そのくせ目立たなくて分厚い眼鏡してる…こりゃガリ勉でしょう」
「…うるせぇ、バカ。急がないと遅刻だぜ。誰かさんの所為でな」

啓太はむすっとしたまま早足で玄関に行き、停めてあった自転車に乗った。
「…なんだよ」
啓太はむすっとしたまま私を睨む。
「後ろ乗っけてよ」
私は無理矢理啓太の自転車の後ろに座りがっちりと腰を掴んだ。
「はぁ?テメェふざけてんのか?」
啓太は眉を潜めじとりと私を睨む。
「…いーじゃん、いーじゃん〜♪減るもんじゃなし♪」
「減る!少なくともテメェの体重でタイヤがすり減る!パンクしたらどうしてくれんだ」

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