恋人未満 2
ある程度もらったビラを、道を外れてまとめる。
「写真に興味ないですかー?」
声が聞こえたのはその時だった。
本格的に写真が好きだったわけではなく、卒業と入学祝いをかねて買ってもらったデジカメにはまっていたのが理由だった。
つい手をのばす。
が、簡単にもらえるはずのビラにふれることができなかった。
写真部の人をはさんで反対側にスーツを着た男の子が居て、私より少し早くそれを受け取っていたから。
黒い髪で、身長は低くもなく高くもない。
顔はまぁまぁ、なんてところまでチェックした。
けど、すぐに私にもビラが渡された。
男の子から視線を戻す。
「よかったら、話だけでも聞いていって」
ショートカットで背が低い先輩、ミカさんがにっこり笑う。
部活の見学と、新歓コンパへの参加を説明を聞いた先で約束させられる。
「コンパは無料だし、女の子でも平気だよ。
私もいるし、飲みもはげしくないし」
ミカさんが笑顔で熱心に説明してくれる。
一人暮らしをはじめて親の拘束からも外れたばかりで、それでついついいきたくなったのだ。
その女の先輩の名前がミカさんなのはもちろんあとでわかったことだ。
そして、スーツ男の子がトシヤ。
会ったというよりすれちがった彼とお互いを認識したのはコンパだった。
「お前、マジ場違いだと思った」
あとから振り替えってトシヤが言った言葉だ。