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嘘から始まる恋ゴコロ
恋愛リレー小説 - 青春

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嘘から始まる恋ゴコロ 6

「「ヤバ。学校!!」」
 駆け出しながら祐はごく自然にあたしの手をとる。ふりほどくのは簡単なのに、つながれた手が心地よくてあたしは振り払うことができなかった。こんなことしたら、あとで祐がもっと辛くなるってわかってるのに。
 祐と別れるまであと1ヶ月――
 あたしはできるだけ祐を傷つけないようにしたいのに。
  
  
  *
 今日は週一回の図書委員会の日。来週の放課後の貸出カウンターのシフト決めを中心に、生徒からの書籍購入のリクエストをまとめたり、書架の整理をしたりする。
 今まで全然意識してなかったけど祐も同じ図書委員なんだよね。
 付き合い始めてから委員会で祐と顔を合わせるのは始めてなので、あたしは妙に緊張しながら委員会に出席した。祐が視界に入るたびにドキドキして、ちょっと目が合ったときはもうドッキン!って心臓が飛び出しそうになるくらいだった。
 シフト決めが終わると書架整理に入った。このときは、みんな仲がいい子と話しながら作業を進める。副委員長の祐はリクエストの束を前に委員長、それに司書の先生と三人で購入する図書を選定していた。
 翼が晴れの日の太陽だったら、祐は曇りの日の太陽みたい。
 晴れの日みたいにずっと明るくもなくて。でも、ときどき、雲のあいだから明るい光が射す感じ。
 そんなことを考えながら祐の姿をボケっと見ていたせいで、あたしは話しかけられてることになかなか気がつかなかった。
「有賀さん」と、腕を叩かれ、ようやく話しかけれていることに気がついた。声のしたほうを向くと篠崎さんがいた。
 うわぁっ、ミス・西ノ宮だぁ。
 あたしは篠崎さんを初めて間近で見てちょっと感動していた。篠崎さんは去年の文化祭のミスコンで一年生ながらぶっちぎりで優勝した、うちの高校ではちょっと有名な人だ。一年生のとき、学食で先輩に声をかけられてるところを何回も見たことがあるし、男子いわく「笑った顔が最高」らしい。
「なっ、なんでしょう?」
 突然、なんの縁も縁もない篠崎さんに話しかけられて緊張と興奮で声が上ずった。
「あのね、有賀さんが矢口くんと付き合ってるって聞いたんだけど、それホント?」
 篠崎さんは小首をかしげるような仕草をした。矢口というのは祐の名字だ。
 一応、付き合ってるんだよね。
 あたしは祐のほうをちらっと見て、それから「うん」と答えた。

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