PiPi's World 投稿小説

嘘から始まる恋ゴコロ
恋愛リレー小説 - 青春

の最初へ
 2
 4
の最後へ

嘘から始まる恋ゴコロ 4


そんなことばかり考えていたせいか、普段よりもずっと早く放課後がやってきた。
(どうしよう・・・。)
祐と帰る約束をしている。廊下に出てみれば、どうも自分のクラスは1番に終わっているらしい。
(この分じゃ、祐のクラスもまだ終わってなさそう。)
なら、祐のクラスへ足を運べばいいのだが、どうにも足が重い。
理由は分かっている。
翼がいるから・・・。
「一緒に待つよ?」
気づけば亜紀が横に立っていた。

「亜紀・・・。」
「あたしも共犯だしね。」
にかっと笑う。
「ごめん。」

2人で話をしていると、10分くらいで祐が教室にやって来た。
「あ、ごめんねぇ・・・話付き合わせちゃって。彼氏迎えに来ちゃったね、それじゃまたね。」
亜紀はまるで自分があたしを引き止めていたみたいにワザと言う。
そして、バイバイと手を振り教室を出て行った。
「友達の話、途中で切り上げちゃって大丈夫?もしあれなら、今日はあの子と帰ってちゃんと話した方がいいんじゃない?」
「・・・ううん、大丈夫。」
後ろめたい気分になる。
亜紀も、祐も優しいから。


2人並んで学校を後にする。
車道側を祐が歩く。さり気ない優しさ。免疫が無いせいか恥ずかしくなる。
不意に手が触れてそのままぎゅっと手を握られた。
少し骨ばった大きな手。なんか安心する。
自分より15センチは高い位置にある顔を見上げれば「何?」というような顔をしながら見つめ返される。
ドキドキドキ・・・。
胸が早鐘を打つ。
何か話さなきゃ、と思うのに言葉が出てこない。
「今週末、ヒマかな?」
沈黙を破ったのは祐だった。
「えっ・・・あ、うん・・・特に予定は。」
少ししどろもどろになってしまったのは、急だったから?
「映画・・・観に行かない?」
そう言ってにこりと笑った。
なんか緊張する。
って、彼女なんだからこういう誘いに緊張する必要はないんだけど。
「ん・・・いいよ。」
了承すると、祐はほっと安堵した顔をした。
・・・付き合っていても、彼女をデートに誘うのは緊張するものなのかな?

映画の話に夢中になっていたら、あっと言う間に家に着く。
「ありがとう。送ってくれて。」
「いやいや、好きな子送って行けるのは彼氏の特権だからね。」

それじゃぁ、と踵を返し、祐は帰って行く。
あたしは、祐が曲がり角を曲がるまで後姿を見ていた。
曲がり角でお互い手を振り合う。
ドキドキの余韻を残したまま玄関を開けようとした時
「よっ!」
と背中から声がした。
「あ・・・。」
振り返ると、そこには翼が立っていた。
見られた・・・?
「なんか、なぎうちのクラスの矢口と付き合うことになったんだって?」
にこりと薄く笑うその表情からは、翼の感情は読み取れない。
さっきした緊張とはなた違う種の緊張が体を走る。
「うん・・・でもね、」
あたしは何を言おうとしたのだろう。
何か、を翼に伝える前に
「良かったじゃん。あいつ、無愛想のトコあるけど、いい奴だし。」


SNSでこの小説を紹介

青春の他のリレー小説

こちらから小説を探す