幸福的恋愛のススメ 1
今まで、好きになった人の数。
16人。
今まで、告白した回数。
0回。
今まで、失恋した数。16回。
彼氏いない歴。
17年。
私、天峰 舞香(あまみね まいか)は、大変非常に壊滅的にタイミングの悪い人間でした。
そして、たった今。
その記録を更新しようとしています。
「……好きです。付き合ってください!」
日差し暖かい放課後の中庭。舞香はそんな声で、夢の中から現実に引き戻された。
あれ……?私、寝てた?
「先輩が走ってる姿。ずっと見てきました」
真剣な女の子の声にドキリとする。辺りを窺ってみると、自分がいる木陰の向こうに人影が見えた。
それは先輩とわたしの学年で1番かわいいといわれる宮城結花。
(え!?告白!?
しかも先輩に!!?
しかもあの宮城サンが??)
舞香は急いで、大きな木の後ろに隠れた。
そういった場面に出会うのは初めてじゃないけど……。
なんとなく、また失恋か、なんて思ってみたり。
だって、モデルやってるって噂の宮城さんだし、芸能人ひっかけて遊んでるって噂の宮城さんだし、彼氏はハリウッド俳優って噂の宮城さんだし。
多分、ほとんど、デマカセだろうけど、そういう噂がでるくらい宮城さんは可愛い。
つくづく間が悪いなぁ……って自分でもよく思う。
小さくため息はいて、周りを見渡してみる。
いつもはこんなことしないんだけど、今日は記念すべき17回目の失恋日。
……一年に一回失恋している計算だ。
最悪最低な記録だ。
でも今回は何かが違った。
「ゴメン・・・君とは付き合えない。」
(あれ??・・・・なんか、いつもと違う!??)
「どーして・・・??私じゃダメですか・・・!??」
動揺を隠し切れない宮城さんが先輩に聞いた。
「・・・好きなコがいるんだ。君とは違って、全然さえないコだけど・・・」
顔を赤らめた、照れた先輩が言った。
(か、かわいい!!っか・・・先輩に好き人・・・やっぱり失恋じゃん・・・・)
「わかりました・・・」
宮城さんは走って校舎の方に戻って行った。
(ある意味・・・記録を更新しなくてすんだけど・・・でも!!好きな子がいるのか・・・当たり前だよなぁ・・・)
と考えながら、立ち上がり、歩き出した。
しかし落ちていた石につまづき
「うわっ!!」
と、大声をだし先輩の前でこけてしまった。
「・・・大丈夫??」
先輩が近寄ってきた。
(やばいよ・・・恥ずかしい〜)
「あ、はい。大丈夫・・・です」