雪の血 1
‐もしあの時、
俺がトリガーを引きさえしなければ、この恋は、愛は叶られていたのだろうか。 ありふれた恋人達のように、手をつなぎ愛を語りながら歩けたのだろうか。 いつかは結婚し子供を育て、そしてその子が巣立った後、二人で余生を送る。 そんな平和で、幸せな時間が過ごせたのか そんな考えが ぐるぐると、 ぐるぐると、 頭を巡り消え行く。
後悔は、枯れる事なく沸き上がる。
―今更、どんな後悔も仮定も無意味だ。 微かに、だが確かに笑うと、天を仰いだ。 顔に、遥か天上から舞い降りた幾つもの雪精が触れた。
露になった頸動脈に大振りなナイフの刃をあて、力を込めた。
そのまま、 迷う事無く 曳く。 あかい花が雪上に散る。
そして…
「俺は…何故この女を…こんなにも愛した女を…殺さなければ…ならなかったのだ…」
もう後悔しても遅い。彼女は帰ってこない。
だから、思う。彼女との思い出を。
あれは一年半くらい前の話だ。
私は
一人街を歩いていた、毎日が退屈で、生きがいも見つけられぬまま、ただ無為に時間を過ごしていた。 世の平和を嫌うわけでわないが、刺激もなく、ただ変わらぬ毎日を過ごすのもいい加減に飽きてくる、、、今日もまた決められた仕事をして一日が終わりを告げる、、、はずだった、、 「助けて!!」 どこかで声が聞こえた、 その声を聞いた私は急いで声のほうへ進んだ、、、、 「や、やめてください、」 声の主は女性だった、