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誰より好きなのに
恋愛リレー小説 - 悲恋

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誰より好きなのに 1

偶然街で会って、駆け寄った私に「雪が降って寒いね」って薄着のあなたは去りながら言ったけれど、
北海道育ちだった私には「そうかもね。」なんて曖昧な返事しかできなかった。

こんな寒さより、あなたの冷たさのほうが身に染みる。

私を見てよ亮佑。

こんなこと思い始めてから二度目の冬が来た。
お互い恋人が居るわけでもなく、昔のように仲良くするわけでもない関係が一年を過ぎた時、私の心臓は壊れそうになった。
「…これ以上壊さなぃで、よ」

いきなりの事で亮祐は「え…?」という顔で私を見た 

「もぅ…無理なのカナ」
涙がたくさん溢れてくる

泣いたら亮祐が困るの知ってるのに……

困らせたくないのに…
そう思えば思ゥほどたくさんの大粒の涙が溢れてきた

亮祐は私を抱きしめた
「!?」
「ゴメン……」

謝らないでよ…
悪いのわ貴方を困らせた私なんだから…

亮祐の温もりがこんなにも愛しいなんて…

どんだけ私は未練タラタラなんだろー……

亮祐の温もりは私じゃなくて…誰にあるンですか…?
そう声に出して問いたかった。
それでもこの抱擁が1分でも長く続くために、
喉まで出かかったその言葉は、白い息と共に飲み込んだ。

亮祐はあの頃と変わり無く優しかった。
一年前もこうやって、私を抱き締めてくれた。

だけど・・・それだけだった。

私の気持ちを分かっていながら、向き合ってはくれない亮佑。

「ゴメン……」
あの時と同じ言葉で私を抱き締めるぐらいなら、
いっそ、振られる方が・・・楽だった。


私なりに努力もしたの…

近すぎる関係が良くないと、距離を置いたの…

女らしくなろうと、体重も減らして、髪も伸ばしたは…

笑顔の似合う人が好きだって言ったでしょ?
だから私は、無理してでも頬を上げるように努めたは…

そんなことしても、意味がないのは、薄々分かってはいたの…

亮祐の対象は…私では有り得ない?…
そんな疑問を何度も打ち消しはしたの…

それでも亮祐に向けて何かがしたかったの…
亮祐の為に、何かを努められると思える、そんな自分が好きだったの…

亮祐は優し過ぎるから、
この腕にいつまでもすがっていたいの…

だけど…それが無理というのなら、
亮祐の優しさは、私にとっては、鋭利な刃物に過ぎないは…

それは単なる我がままだということは百も承知なの…

恋愛の対象ではない私を抱き締めてみたところで、亮祐にとっては肉親とか小さい子供に抱擁するのと何ら変わらないことは分かっているの…

でも…

私は亮祐の妹でもなければ、ランドセルを背負った子供でもないの…
ましては、抱擁が日常生活に組み込まれている西洋人でもないの…

私は抱き締められるとドキドキもするし、その先の関係に期待もしてしまう、そんな普通な女なの…

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