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tomoka
恋愛リレー小説 - 同性愛♀

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tomoka 34

こんなこと考えてるなんて、朋子には知られたくない。
「今日どこ行くか考えてて。やっぱりLuce?」
「…ん、そだね。久しぶりに行きたいかも。」
あたしの空元気を知ってか知らずか、それに合わせてくれる朋子。
こうゆうとこ、やさしいんだよね…


お店の方に挨拶をしてから地下鉄へと向かう。
さっきまで全ての景色がモノクロの世界だったのが、急に色付いていく様子に自分のことながら少し笑えた。


「ありさ、直接お店に行ってるみたい。」
朋子はメールを返しながら、嬉しそうにそう呟く。
もう少しだけ、朋子と二人でいたかったんだけどな…
いつもはなかなか来なくてイライラさせられる地下鉄も、こんな時ばかりはありがたかった。
「…この時間て、いつも待たされてる感じしない?」
「そう?」
まだ来なくてもいいんだけど…
「香はお腹空かない?実はお昼まともに食べてなくて。」
お腹減っちゃったよ〜と嘆く朋子が可愛くて、何か持ってなかったかとカバンを探してみる。
確かいつもここに…
「あった。」
「どしたの?」
「はいコレ。」
クエスチョンマークが頭の上に浮かんでいる朋子に、握ったままの手を差し出す。
朋子の掌の上に持っていたものを出すと、小さくワァッと歓声があがった。
「もらってもいいの?」
もちろん、と言う意味をこめて笑顔を返すと、朋子は嬉しそうに包み紙を開けていた。


─ミルキー一個でこんなに喜んでもらえるとは思わなかったな。
幸せそうにミルキーを食べる朋子がずいぶん幼く見えた。

人のまばらなプラットホームに電車が来ることを知らせるアナウンスが鳴り響く。
少しの非難を込めてライトに照らされたトンネルを見やる。
5秒も経たないうちに姿が現れ、30秒後にはあたしと朋子は座席に腰を下ろしていた。
地下鉄はあっとゆう間に目的地へと運んでくれ、あたしたちは再び地上へと降り立った。
まだ9月の始めとはいえ、夜になると外は少し肌寒く感じる。
あたしは着ていたジャケットの襟を立てると、後ろを歩く朋子をチラリと振り返る。
薄手のカーディガンにジーンズと、普段よりラフな格好をしている朋子が寒そうに見えて。意識的に歩みを早めた。


「ともこ〜っ」
声のした方を見ると、ミニスカートにブーツ、デニムのジャケットを着た髪の長い女が向こうから手を振っているのが見て取れた。
「ありさ」

後ろから嬉しそうにありさの名前を呼ぶ朋子。
その間にいるあたしはどうしたらいいか分からなくて、一瞬止まってしまう。
「香も、久しぶりだね。」
ありさの言葉に曖昧な笑みを浮かべる。


久しぶりに会ったありさは相変わらず元気いっぱいで、Luceの中に入ってもそのテンションは変わらなかった。
─もっとゆっくり話したかったんだけどな。
二人で話が盛り上がっている様子を傍でただ見ていることしか出来ない自分。
それがもどかしくもあり、ありさが羨ましくもあった。

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