tomoka 23
さっきのメール送信してなかったっけ。
携帯を確認したけど、ちゃんと送信済みになっていて。
マメなトモコがメールに気付いていないとは考えられなかった。
…シカト、されてる?
まさか。トモコに限ってそんなことするはずないじゃない。
─じゃ、なんでメール来てないの?
いつも何かあったら真っ先にメールしてくるじゃない。
きっと体調が悪くて、メール送れなかったとか…
─でもケイコにはメールしてたよね。
それは、
…メール送ったけど未送信になってて気付いてないとか。
─マメな子だって言ってたじゃない。
そんなこと今まであった?
…
─何かやっちゃったんだよ。
嫌われるようなこと。
傷付けるようなことを。
そんな…
「…オリ、大丈夫?」
「え?」
気が付くと佳子が心配そうな顔をしてこっちを見ていて。
着替の途中で止まっていた手を動かしながら、大丈夫とだけ答えた。
頭の中で昨日から今日にかけてあった事を思い出す。
飲みの時は何時もと変わりなかったはずだから、何かしてしまったとしたら今日だけど…
会ってもないのにどうやって傷付けられるのよ。
…もしかしたらあたしの考え過ぎかもしれないし。
明日になればメール来るかもしれないよね。
自分に言い聞かせるように心の中でそう呟くと、まだ心配そうにしている佳子に声をかけてから更衣室を後にする。
7月に入ったとはいえ、夜はまだ肌寒くて。
地下鉄の駅を出て自転車を漕ぎ始めると、夜風がいやに冷たく感じた。
明日になれば、きっと連絡来るよ。
そう自分を励ましてその日は眠りについた。
─でも、次の日になってもトモコからメールは来なくて。
トモコが故意的にメールを返信しなかったとあたしが理解したのは、それから5日経った日のことだった。
この日もトモコはバイトを休んでいて、社員にはしばらく休みをもらう旨を連絡しているようだった。
前までは、あたしがトモコのことなら何でも知っててみんなに教えていたのに。
今ではみんなからトモコの様子を教えてもらわなきゃ分からなくて。
トモコとの間に、知らない内に見えない壁が現れたようで。
あたしが知らないトモコを、他の人から聞くことが悲しかった。