PiPi's World 投稿小説

tomoka
恋愛リレー小説 - 同性愛♀

の最初へ
 17
 19
の最後へ

tomoka 19

大丈夫かな?
と小声で呟いていると、足音を響かせて明がこちらに向かってくる音がした。

慌ててローソクに火をつけてクラッカーを構える。

バンッ

ドアが開けられたタイミングを見計らってクラッカーを鳴らす。

「「「「おめでと〜!」」」」

明はまったく気付いていなかったようで。

テーブルの上のケーキを見て、初めて自分の誕生日に気付いたようだった。
─意外と天然なんだよね。

直樹が言っていた言葉を思い出す。

本当にそうかも。


なんでも明は、直樹がかけた電話を勘繰りすぎて、家の中の不審者がいると思い込んでいたらしい。

想像力たくましいなぁ…
料理と一緒に買って来たアルコールを出すと、みんな目を白黒させていた。

やっぱり多すぎだったかな…

チラリと明を見ると、物言いたげな様子だったので、

「明くん、お酒強いって聞いたから。」

と微笑んでおいた。

お酒が進むにつれて人の数が減っていき、最終的にはあたしと直樹、そして明が残った。


飲みながらも力をセーブしていたあたしはまだホロ酔いで。

直樹は顔に出ないから分からないけど、ずいぶんキマっているようだった。
明はまだ余裕があるらしく、そんな直樹を心配そうに見ていた。


お酒、強いんだ。

飲みっぷりが良い人とお酒を飲むのが好きなあたしは、明と今度はサシで飲んでみたいと思っていた。

「ちょっと行ってくる…」

とおぼつかない足取りで直樹がトイレへと向かった時に、あたしは切り出した。


「あのさ、」

「ん?」

まだ目がすわっていない明がこちらを向く。

─この目じゃない

「あたし、明くんに…」

「明でいいよ?」

─そんな優しい目じゃないの。

「明に聞きたいことがあったんだけど。
訊いてもいい?」

そこまで言い切ってから明の顔を真っ直ぐ見つめる。

あたしを見つめ返す二つの目の奥に、髪の長い女が写っていた。

明が頷くのを見てから口を開く。

「あたし、明に会うの今日で5回目なんだ。」

「正確に言うと、明だって勝手に認識したのが5回、かな。」

酔った頭で数えている様子の明。

なにか負に落ちない顔をしてあたしを見つめる。

やっぱり分かっていなかったようだ。

「初めて見たのは、スーパーの前で。」

「直樹と朋子のことを、あなた真剣な表情で見てた。」

明の顔色が変わる。

SNSでこの小説を紹介

同性愛♀の他のリレー小説

こちらから小説を探す