PiPi's World 投稿小説

tomoka
恋愛リレー小説 - 同性愛♀

の最初へ
 16
 18
の最後へ

tomoka 18

と笑うアリサに、朋子は複雑な顔をしていた。

─好きな人の好みが分かったのは嬉しいけど、アリサの口から聞くのは…ってとこ?


苦笑しながら振り返ると、エプロン姿の朋子に見とれている直樹がいて…

まったくドイツモコイツモ。

「直樹、部屋の準備しちゃお?」
ポーッとしている直樹の耳元に、

─少しは良いとこ見せなきゃ。

でしょ?

と首を傾けると、直樹は俄然やる気が出てきたようで。

打って変わった様子で、張り切って用意をし始めた直樹に、アリサが眉を潜める。

「何か言ったの?」

と聞かれたけど、特には何も?と肩をすくめておいた。

単純、だなぁ。

肝心の朋子は馴れない料理に苦労しているようで。
直樹の様子にまったく気付いていなかった。

「トモ、大丈夫?」

見かねたあたしが声をかけると、泣きそうな顔で頑張る…と言われた。

朋子は一人暮らしをしているけど、料理はまったくダメで。

元が器用だからきっと飲み込みは早いと思うんだけど。

でもきっと、一人で作りあげたいんだろうな、と思って口は挟まないでおいた。

アリサの監督のもと、テキパキと準備が出来上がり、あとは主役が来るまでとなった。
アキラと直樹のグループの友達の和哉と、その彼女で、朋子の友達でもある秋奈も揃って到着を待つ。

「あの感じだと、あと10分くらいかな?」

電話口でアキラを呼び出した直樹がみんなに伝えた。

雰囲気が出るように、とアリサの提案から、窓にカーテンを引いて部屋を暗くしておいた。

チャイムが鳴ったところでローソクに火をつける準備をする。

鍵は空いているから、明は中まで入ってこれるはずだった。


何回かチャイムが鳴った後でドアノブを回す音が聞こえた。
「…アリサ?」

いないのか?かすかに聞こえてくる声に、明の帰る気配を感じたのか、朋子が慌てて腰を浮かす。

が、アリサに腕を引っ張られて腰を下ろした拍子に、テーブルの上に用意しておいたケーキのフォークを落としてしまった。

フローリングの床にフォークが落ちる音が響く。


ごめん、と口だけ動かして謝ると、朋子はアリサの隣に座る。

なんだか玄関が騒がしいけど…

SNSでこの小説を紹介

同性愛♀の他のリレー小説

こちらから小説を探す