tomoka 12
ホッとしつつも、絶好のチャンスを自分で潰してしまったことが少し悔やまれた。
もう少し愛想のよい人だと良かったのに…
なんとなく、自分と似たものを感じていただけに、今日の反応はかなりショックだった。
うなだれてカナの家に帰ると、すごく心配された。
次の日、朝からバイトに入っていると、社員の人から昨日新人が面接に来たことを言われた。
どうやら同い年で、学生らしい。
女の子たちが色めいている様子を見ると、けっこうイイオトコのようだった。
バイトが終わって、ロッカーで着替えていると、いつになく興奮した朋子が入ってきて。
「どうしたの?」
と聞くと、昨日アキラと一緒にご飯を食べに行ったことを教えてくれた。
自分で聞いておきながら、聞かなければ良かった…と少し後悔をした。
続きはLUCEでしない?と誘うと、朋子も了解してくれて。
二人で地下鉄に乗って学校の近くの小さいカフェに向かう。
どうしてここまで来たかと言うと、昨日朋子がアキラと来た場所で、そして何よりLUCEのオムライスにあたしと朋子はハマっていたのだ。
ここのオムライスは、卵がフワフワで。
入る具とソースの組み合わせが自分で選べるのも人気の秘密だ。
ソースの数もオーソドックスなデミグラスソース、ホワイトソースに始まり、ザッと10種類はあるので、入る具と組み合わせると、ゆうに100通りはできる計算になる。
また、その日の気分に合わせてチーズなどのトッピングも可能なのが嬉しい要素の一つだ。
「何食べようね。」
朋子は決め終ったのか店員さんを探しているようだった。
「ん、決めた。ごめんね待たせちゃって…」
メニューから顔を上げると、朋子にすまなそうな顔を見せる。
でも朋子はあたしを見ていなくて。
朋子?と声をかけると、慌ててこちらを向く。
「誰かいたの?」
と聞くと、
「ごめん、香。ちょっと行ってくるね。」
と言ってどこかに行ってしまった。
朋子が誰を見付けたのか大体予想はついていたけど、やっぱりアキラだった。
こちらからは後ろ姿しか見えないけれど、なんとなく歓迎されていないような気がした。
きっとあたしの勘繰りすぎなんだろうけど…
注文を取りに来た店員さんに、朋子の分も頼んでおくと朋子が花を飛ばしながら帰って来た。
「香ごめんね。」
アキラくんがいてね、声かけて来ちゃった…と嬉しそうに話す朋子の笑顔は、本当に恋する女の子で。