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tomoka
恋愛リレー小説 - 同性愛♀

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tomoka 11

と頭を下げてアキラのところに駆け出していく朋子を見つめながら、あたしは昨日のことを思い出した。

朋子が男の人と楽しそうに話しているのを、遠くから眺めるあたし。

そして、朋子を眺めるもう一つの目…

あの時の?

やっとあたしはアキラをどこで見たのか思い出した。


─でもどうして昨日、アキラはあんな目で朋子を見ていたんだろう。

朋子から聞いていた限りでは、朋子が一方的にアキラを慕っているという感じだったのに。

あの目はどう考えてもそんな無機質な感じじゃなかった。
どちらかというと、恋こがれた相手を見つめる視線だったように思える。


やっと客の波が引いて、上がっていいよ?と声をかけられたので、お先に失礼します。と挨拶をして着替えに向かう。

ロッカーを開けて携帯をチェックすると、朋子からメールが来ていた。

どうやら二人で帰れたみたいで。

良かったね。とメールを送って、私服に着替える。

そういえば、直樹の指輪のことスッカリ忘れていた。

確か今日からしばらく地元で就活をしていると言っていた気がする。
どうしよう。

と呟いて、ふとアキラに渡したらどうかと考える。

アキラと直接話してみたい、という方が大きな理由だったのかもしれないけれど…

─でもどうやって?

顔くらいは覚えていてくれるかもしれないけど、話したこともない人からいきなり声をかけられて応じてくれるだろうか…

チャンスは中々訪れなくて。

直樹が帰って来たら直接渡そうと、指輪を財布の中に入れてしまっておいた。

その日はカナの家で課題をやっていて。
小腹が減ったあたしは、近くのコンビニまで夜食を買いに行って来ると言ってアパートを出た。

前の日まで降っていた雨のためか、ところどころに水溜まりがあって。

それを避けながらコンビニまでなんとかたどり着く。

いらっしゃいませ〜と言う店員の挨拶を聞き流しながらお菓子のコーナーで選んでいると、あたしの視界に背の高い男が入って来て。
棚を挟んだ向かいに後ろ向きに立ってオニギリを選んでいるようだった。

選んだ商品をレジに持って行き、お金を払う時に財布の膨らみに気付く。

あれ?コレなんだっけ…
取り出して見ると直樹の指輪で。

あ、さっきの男…もしかして

会計を済ませて、もう一度オニギリを選んでいた男を探す。

─やっぱり、アキラだ。

なんだか声をかけずらい雰囲気だったが、好奇心に負けて呼び掛けた。

「…あの、」

2、3回声をかけてもまったく気付かないので、腕の裾を引っ張る

「ナニ?」

振り向いた時の不機嫌そうな顔に負けて、慌てて指輪を押し付けると走って逃げてきてしまった。

店を出てしばらく走ってから振り向くと、アキラはいなくて。

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