nao 10
どんな夢見てたんだか。と言って、ニヤニヤと笑いながら俺の反応を楽しんでいるアイツ。
思わず、夢を思い出して顔が赤くなっていくのを感じた。
「か、顔洗ってくる。」
アイツいつからあんなに性格悪くなったんだよ…。
冷たい水で顔を洗うと、気持ちも落ち着いてきた。
「よし、じゃ行くか?」
朝飯は学校で食おう。と言いかけた俺に、アイツが無言で丸いものを寄越してきた。
顔にクエスチョンマークが浮かんでる俺を見て、アイツは一言。
「今日の朝飯」
アサメシ?
朝飯??ってことはこれオニギリか何かってことか?
あまりの不意打ちに、何も言えなくなっていると、
「嫌なら食わなくていーから。」
あ、今頃照れてる。コイツ。
直樹は昔独り暮らしをしてたけど、家事なんてまったく駄目で。
オニギリなんて作ったとこも見たことがなかった。
照れて先を歩くアイツに走って追い付くと、
「ありがとな?」
とだけ言う。
直樹はなんとなく作ったのかもしれないが、俺にとってはすごい嬉しいことだから。
「おぅ。」
いつも泊めてもらってるからさ。そのお礼だとアイツは言った。
変なとこ気を使うんだからなぁ。
「ふふっ」
「どした、明?」
どうやら口に出ていたらしい…
「や、急ごうぜ?」
「おぅ。」
──────
無事に授業も終わって、今は学食。
いつもは何食べようかうだうだ考えなきゃいけないのに、今日は違う。
「いただきます。」
窓際の席に二人で座りながら、アイツが作ってくれたオニギリのような物を頬張る。
これは、………。