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nao
恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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nao 72

「何て…って告白のセリフか?」
俺は自分で聞いておきながら顔を赤くして頷く。
「それは…」
「それは?」
何かを思い出すように目を細めると、明はこちらを振り返る。
「それはナイショ。」
「引っ張っといてそれかよ!」
笑いながら突っ込む俺の言葉を、明は軽く笑ってかわした。
「じゃあさ、どんな告白がいいと思う?」
「それはされたらってこと?それともするとしたら?」
逆に質問されて少し戸惑う俺。
「んー、じゃされる方。」
「じゃあって何だよ。」
今度は明が俺の言葉に突っ込んで笑う。
「明だったら、どんなこと言われたらグッとくる?」
思わず口から出た疑問だったけど、俺は純粋に興味があったんだと思う。
「どんなこと…ねぇ。」
持っていたグラスを手の上に置くと、明は真剣に考えていてくれるようだった。
「ストレートに言っていんじゃない?」
グラスを見つめながらそう呟く明。ふと顔を上げると、真面目な顔で俺と向き合う。


「お前が、好きなんだ。」
「…えっ?」
─一瞬、息が止まるかと思った。
俺の驚いた顔を見ると、明は堪えきれなくなったようにうつ向いて肩を震わす。

「え、や…あの、明?」
─泣いてるのか?
「…明、俺、そのさ」
「………ぷは、くははははッ」
今度はいきなり笑いだす明に、俺は呆気に取られる。
ひとしきり笑った後で涙を拭うと、「冗談だぞ?」と言って明はまた笑った。
「…っだよ。本気なのかと思って、俺かなり焦ったじゃん。」
「ごめんごめん。…だってお前本当に困った顔するからおかしくてさ。」
そう言って眉を下げる姿が昔飼っていたシベリアンハスキーのタケルにそっくりで。
俺は怒る気持ちが失せてしまった。
タケルもイタズラをして、俺に怒られるのが分かるとこんな顔したんだよ。
うなだれる明の頭に、酔っていたせいか耳が生えているように見えたんだ。
怒ってないから、と言いかけたら、タケル…じゃなくて明は何かを思い付いたようにこちらを見つめる。
「なぁ、あんなに慌てたってことは…ちょっとはグッと来た?」
イタズラそうな瞳も本当タケルそっくりだよ…さっきまでうなだれていた尻尾までそんなに振っちゃってさ。
「…バカ明。」
「来なかった?」
「……来たよ。」
自分で聞いておいて照れるなよ。…こっちまで顔赤くなるだろ。

「…だろ?やっぱりさ、男の俺に言われてもそうなんだから。ありきたりな言葉でもさ、直樹の気持ちをストレートに伝えればいいんじゃねぇの?」
赤くなった顔を背けながらそう言う明の言葉が印象的で。俺は今でも覚えていたんだ。



「気持ちを、ストレートに…だよな明。」
俺の他には誰もいない公園のベンチに座りながらそう呟くと、俺は覚悟を決めた。
それを見計らったように、握り締めた携帯が震える。

from:今野朋子ちゃん

今から行くね(^_^)v


メールを開いた瞬間に心拍数が一気にはね上がったのが自分でも分かる。

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