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nao
恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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そんな俺の顔を見て、アイツは決意を固めたようだった。
真面目な顔で俺に向き合うと、一言「分かったよ明」と言って笑った。


不覚にも、俺はその笑顔にキュンときてしまって。少しの間感情を抑えるのに必死だったんだ…
そのことは、まだ俺だけの秘密なんだけど。


──────────
明の家の玄関を閉めると、俺は溜め息を一つ吐いてそれにもたれかかる。
─まさか明に後押しされるなんて…考えてもみなかった。
「俺が励まされてどうするんだよ…」
自分にそう問いかけてみても答えが出るはずもなく。

こんな時までハッキリ決められない自分が嫌になった。
いつまでも玄関の前にしゃがみこんでいるわけにもいかないから、自分に喝を入れて立ち上がると車へと向かう。
車の中には、朝母さんがくれた紙袋が座席の上に乗っていて。朝はあんなに勢いがあったのに…と思うと自分に腹が立ってきた。
─明より、誰よりも朋子ちゃんのこと好きなんだろ?
だったら迷ってないで行けよ!


「そう、だよな。」
ポケットから携帯を取り出すと朋子ちゃんに電話をかける。
出てくれ…今じゃないとダメだよ俺。

永遠に続くかと思われた呼び出し音が止み、驚いたような声が耳に入る。
「もしもし?」
「あ、ごめん直樹です。」
緊張しすぎて自分が何を話してるのか分かんなかった。
「うん。どしたの?」キタ。
「あのさ、今から少し会えないかな?」
「今から?」
そう言って少し考え込む様子の朋子ちゃん。
俺は受話器越しに祈ることしかできなかった。
「…え〜っとね、うん。大丈夫だよ?」
「あ、じゃ朋子ちゃんの家の近くに公園あったよね?あそこで待ってるよ。」
「了解です。じゃ家出る前にメールするね。」

「うん、ありがとう。それじゃまた。」
また後でね、という彼女の声を聞きながら、通話終了ボタンを押す。
やってしまった…電話かけちゃったよ。
どうしよう。明、どうしたらいい?
無意識に明の名前を呼んでいて。そのことに気付き苦笑する。
─自分でなんとかしなきゃだろ。
…そうだよな。
「行くか。」
そう呟いてエンジンをかけると目的地へと向かう。
明の家から朋子ちゃんの家は歩いても15分程だから、車だと5分もかからない距離だ。
公園の側にある空き地に車を停めると、ゆっくりと歩き出す。
そう言えば、なんて言うかも決めてないや。
なんて言えばいいんだ?
「好きです。」「ずっと好きだったんだ。」「付き合ってください。」
どれもありきたりに思えて選べない。
─ありきたりでも、自分の思いをストレートに言った方がいいらしいぞ?
そう教えてくれたのは、確か明だ。
あの頃はまだ俺が好きな人もいなくて、どうやったら彼女ができるか明に相談してた時だった。


──────────
「明はさ、ななちゃんに何て言ったの?」
少しアルコールも入っていたから、いつもよりも気が大きくなっていた俺はそう尋ねたんだ。

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