PiPi's World 投稿小説

nao
恋愛リレー小説 - 同性愛♂

の最初へ
 68
 70
の最後へ

nao 70

俺は本当に何のことだか分からなくて、絞り出すように言葉を紡ぐアイツを、ただ見ていた。


「明、誰のこと好きなの?…本当は朋子ちゃんのこと、好きなんだろ?俺のこと想って告白断ったんじゃないのか…?」
確かにお前のこと想って断った…でも、違う。
真っ直ぐなアイツの視線に応えられずに俺は目を反らす。


「もし好きなら、ちゃんと気持ち伝えた方がいいよ。…俺も、そうするからさ。」
そうするって、直樹?
思わず直樹の顔を見つめると、迷いのない瞳が返ってきた。
─告白、するのか。
俺には止める権利なんてなにもないしな…


「頑張れよ?って、俺が言うことじゃないかもしれないけど。」
そう言って笑ってみせるが、アイツは悲しそうな顔をするだけだった。
「明、本当にいいの?」
─よくねぇよ。
「…あぁ。俺じゃダメだからな。」
「…どういう意味?」
「言葉どおりの意味だけど?」
「ダメだからって諦められる程度の気持ちなんだ。」
「……」
「…ごめん。言い過ぎだね。」
「いや、お前の言う通りだから。」
俺じゃお前を幸せにできない。俺は男だし、お前は別な人を好きなんだから…
「じゃ何でそんな顔してんの?明…すごい辛そうだよ。」
「…え」
「辛いなら辛いって、好きなら好きだって言ってくれよ。明いっつも自分の中で解決して。俺、いる意味ないじゃんか…」
そう、最後は消え入りそうな声で呟く直樹。
「…ごめん。でも俺、お前がいてくれなきゃダメだよ?意味がないなんてことは絶対ない。」

「じゃぁ、なんで…」
「…なんでかは今は言えない。でもちゃんと、俺がちゃんとケリつけたら、お前に一番に言うよ。」
─俺の本当の気持を


「分かった。」
「…サンキュ。お前はちゃんと言ってこいよ?」

「え…いや、だって」
「そんな気なんて使われたくない、だろ?」
俺がそう言うと、アイツは心底困ったようだった。
気い使いのアイツにとってそんなこと出来ないって言いたいんだろうけど、俺から折れる気はさらさらなかった。
「その程度で諦められないんだろ?」
「それ、さっき全部俺が言ったんじゃん。。」
「……バレた?」
そう言って反応を窺ってみる。
「バレバレでしょ。」
…期待通りの突っ込み。やっぱり直樹は分かってくれてるよな。
そう思ったら自然と顔がほころぶ。

そんな俺の顔を見て、アイツは決意を固めたようだった。
真面目な顔で俺に向き合うと、一言「分かったよ明」と言って笑った。


不覚にも、俺はその笑顔にキュンときてしまって。少しの間感情を抑えるのに必死だったんだ…
そのことは、まだ俺の中だけの秘密なんだけど。

SNSでこの小説を紹介

同性愛♂の他のリレー小説

こちらから小説を探す