nao 8
──────
「あ〜きらぁ。」
深夜に鳴る携帯を取ると、アイツからだった。
「…飲んでんの?」
「うん…。これから行っても大丈夫か〜?」
いつもとはまったく違うテンションに押されながらも、あぁ。とだけ返事をして電話を切ると、急いで部屋を片付ける。
30分もしない内に、扉に何かぶつかった音がした。
アイツそんなに酔ってんのかよ。呆れよりも心配が上まって、駆け足で扉を開けると、うずくまるように座る直樹がいた。
「おま、…大丈夫かよ??」
グッタリとしてるアイツに肩を貸して、部屋の中に引っ張りこむ。
いつもは俺より華奢なはずなのに。
アイツの意識がないためか、玄関の中に入るのでも精一杯だった。
靴を脱がせて、何とかコタツまで辿り着くと、アイツはいつもみたいにその中に潜り込んだ。
俺はそれを見て苦笑しながら、
「直樹、そんなことしてっと風邪引くぞ?」
と言って、ロフトから下ろした布団をかけた。
もう5月と行っても、まだ朝方は冷え込むのだ。
アイツが寝静まったのを見届けてから寝ようと思っていた俺は、コタツの脇で座っていた。
アイツは顔だけ布団から出すと、気持良さそうに眠り始めた。
肌、綺麗なんだよな。コイツ…
って俺何思ってんだよ!
それ以上見てるとまた変な夢を見ることになる…と思った俺は、ロフトに退散することに。
音を立てないように立ち上がり、ロフトの階段を登ろうとした時だった。
「あき…ら?」
「ぅわっ、ビビらせんなよ。お前起きたの?」
本当に心臓が飛び出るかと思った。