nao 7
タオルいつもんとこ出しといたから。って言ってから俺は思い出したんだ。
昨日、あの後俺…
アイツにキスしたことを。
夢…だよな?
ごめん。そう呟かずにはいられなかった。
シャワーを浴びてるアイツに、俺の声が聞こえるわけもなく。
それから一週間はアイツの顔を見る度に、あの夢を思い出して大変だった……。
同じ夢を見る度に、アイツに会うのが辛くなった。
飲み会なんていくなよ…お前のこと好きなやつのことなんて祝うなよ。
分かってんのか?
お前、自分で思ってるよりずっとモテるんだからな…
「じゃ、俺そろそろ行くわ。」
レポートが終わったせいか、晴れ晴れとした顔でアイツはそう言うと立ち上がった。
「おぉ。じゃまたな」
俺は手の平だけを玄関に向けてヒラヒラとふった。
―――パタン
ドアが閉まった音を聞くとコタツに潜り込む。
さっきまでアイツがいた温もりを無意識の内に探してしまう。
俺、本当ヤバイかもな。
とりあえず、あと10時間はアイツに会わなくて済むと思うと、少し冷静になった。
彼女でも作ろうかと思ったこともあったんだ。
でもなんだか駄目だった。
友達の彼女の友達だと言われて紹介された子。可愛いと思うし、いい子だって思った。
メールなんかもマメで。そこそこ気を使ってくれて。
二人で遊びにだっていった。
映画は楽しかったし、飯も旨かった。
楽しかった…はずなのに、俺の頭のどっかにずっとアイツがいたんだ。
笑ってるアイツ。ふざけてるアイツ。運転してるアイツ。目を閉じてるアイツ…
その事に気付いてから、相手の子には申し訳なさしか浮かばなかった。
勘弁してくれよ。
俺だって昔は女の子が好きだったんだぞ?
なのになんでアイツのことばっかりこんなに想うんだよ。