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恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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nao 67

母さんに、「朝ごはんいらないの?」と驚かれたけど、
「すぐ行かなくちゃいけないんだ。」と言って居間を後にする。
玄関で靴をはいていたら、「これだけでも持っていきなさい?」と紙袋を渡された。
「…ありがとう」とだけ言って、玄関から外に出る。


家の近くにある駐車場まで歩いている途中で、さっき渡されたものの中を覗いてみると、急いで作ったらしいサンドイッチと小さなリンゴが入っていた。


─母親ってすごいな。
改めてそう感じた。
車に乗り込むと、今日のBGMを決める。

小学生のころから好きなこのバンドのナンバーを聞くと、元気がもらえる気がして。
どこか懐かしいそのサウンドを耳にしながらエンジンをかける。
─明のとこまで頼むよ相棒?
心地よいエンジン音が俺の言葉に応えてくれる。
─待っててくれよ…明。


────────────
直樹がシャワーを浴びてたころ、俺はいつものように図書館へと向かっていた。
予想に反して教採の一次に通ったため、二次の対策にここ一週間追われいたんだ。

模擬授業をやれだなんて言われても出来ねぇよ…。
昨日とはうって変わった今日の曇り空は、今の俺の心境にピッタリだった。


どんよりとした気分で図書館の、いつもの席に腰を下ろす。
二階にあるこの席の正面はガラス張りになっていて。図書館の入り口に植えてある大きな木が、席に座ったままでも見えるのが気に入っているんだ。
机の上に持って来た教科書をバサバサと置く。
─と、俺の体のどこからか耳慣れた電子音が鳴り響いた。
っやべ…マナーにしてなかったっけ。
慌ててその音の元を探すが、ズボンにもジャケットにも入っていなくて。
周囲からの冷たい視線が突き刺さっているのを感じながら、なおも探していると、やっと音が止んだ。


また鳴らすのはさすがにマズイと思って、鞄の中の物を全て机の上に出す。
─やっぱり慣れない事するとダメだな。
今日は荷物が多いから、いつもは使わない大きめのボストンバックに入れてきたんだけど…携帯をその内ポケットにしまっておいたことをすっかり忘れていた。
─でも、誰から連絡が来たんだろう。ずっと鳴ってたとこをみるとメールじゃなくて着信だったみたいだし…
なんとなく、胸の中がモヤモヤした。


恐る恐る携帯を開いてみる。
─やっぱり着信だ。
確認ボタンを、押す。
不在着信 28秒
田辺直樹


直樹から?なんで…


しばらくぼおっと携帯の画面を眺めていたら、また携帯が鳴る。
周りの人がまた非難の目を向けてくるが、そんなの気にしていられなかった。
だって今度はアイツからメールが来たから。
きっかり10、心の中で数えてからメールを開いてみる。

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