PiPi's World 投稿小説

nao
恋愛リレー小説 - 同性愛♂

の最初へ
 61
 63
の最後へ

nao 63

だってもし2人が付き合うことになったら、その様子を間近で見ることになるんだし。

「うん。…明くんが見てるのはあたしじゃないって分かったし。」
節目がちにそう呟いた彼女の震える肩に手を伸ばす。
でも俺の臆病な右腕は彼女に触れる直前で引き返してきた。
「…そっか。」

「だから、直樹くんもお願い。」
2人のこと一緒に応援してくれない?やっぱり一人だと心細いし…。
そんなこと言われて断れる男がいるんだろーか。
「もちろん!」
協力するよ、とは言ったものの。

どうなの?それ…
あきらくんには幸せになってほしいの。って言われてもさ…

俺だって朋子ちゃんには幸せになって欲しいよ?
「朋子ちゃんはそれでいいの?」
だってもし2人が付き合うことになったら、その様子を間近で見ることになるんだし。

「うん。…明くんが見てるのはあたしじゃないって分かったし。」
節目がちにそう呟いた彼女の震える肩に手を伸ばす。
でも俺の臆病な右腕は彼女に触れる直前で引き返してきた。
「…そっか。」

「だから、直樹くんもお願い。」
2人のこと一緒に応援してくれない?やっぱり一人だと心細いし…。

自分の好きな子に、泣きそうな顔でそんなことを言われて、断れる男がいるんだろうか…
「もちろん!」
協力するよ、とは言ったものの。


どうなの?それ…

家へと向かう高速バスの中で、今日言われたことを思い返してみる。
あの後、朋子ちゃんに笑顔で「ありがとう」と言われた俺は上機嫌で家路に着いてたんだけど。
よくよく考えてみると、朋子ちゃんの計画はずいぶん無理な話に思えてきて。

香からも明からも、俺は好きだなんて話を聞いたことがなかったから。
あ、でも…
そういえば香、明のこと少し気にしてたよな。

でも好きだとは限らない気もするし。

あ、でも…
香ってななちゃんにちょっと似てるかも。
クールなとことか、髪が黒いところが。

…そういう人なんてたくさんいる、か。
溜め息を一つ吐くと、俺の吐いた息で窓ガラスが白く曇った。

二人の名前を縦に書いてみる。
真っ暗な外の景色に、二人の名前は浮かび上がっているように見えた。
その上に三角形と、真ん中を通る直線を引いてみる。
相合い傘なんて書いたのいつぶりだろ…
出来上がった傘の上にハートマークを書いてみる。
ふと思いついて、その隣にもう一つ相合い傘を書いてみた。
名前だけでも隣同士なことが嬉しくて。思わず笑みが溢れた。

…周りから見たら俺ってけっこう危ないヤツかも。
頭の中の冷静な部分が俺に警告する。

さりげなく辺りを見渡すと、幸運なことにみんな寝入っているようで、俺に気付いている人はいなそうだった。
2つの傘を通して外を見ていると、見慣れた景色が飛込んできた。
あと15分くらいかな…
背もたれに身を任せると、少し眠りにつくことにした。

─お前との関係が壊れそうで言えなかったんだ。

明?

─だって俺好きだから。

誰のことを?

─俺、


SNSでこの小説を紹介

同性愛♂の他のリレー小説

こちらから小説を探す