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nao
恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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nao 62

心の中に湧き出た疑問を振り払うように頭をぶんぶんと振る。


俺の友達高橋明は、男から見てもすごくカッコイイヤツで。
雰囲気が…なんか違うんだよね。他のヤツと。
自分じゃその事に全然気付いてないのがまた憎いんだよ。
本当に。
俺は明になりたかったんだ。


LUCEの前まで着くと、窓際の席に朋子ちゃんがいるのが見えて。
思わず側まで走りよると、コンコンと窓を叩く。
パッと顔を上げた彼女の目が、俺じゃないヤツを期待していたように思えて。チクリと胸が痛んだ。
…俺が明だったら、目の前にいるこの子の手を、離したりなんかしないのに。


「ごめん、待たせちゃった?」

「ううん。バイトで疲れてるのにごめんね。呼び出しちゃって…」
朋子ちゃんの笑顔が見れるなら、たとえ一日中働いた後でだって行くから!
…なんて言ったらビックリするんだろうなぁ。
「何食べよっか?」
実はすっごいお腹減っててさ、バイト中お腹鳴らないかびくびくしてたんだ。と言ったら朋子ちゃんも笑ってくれた。
よし!机の下で小さくガッツポーズを作る俺。
本当にさ、朋子ちゃんの笑った顔大好きなんだ。

こう…なんて言えばいいんだろ。それ見ただけですごく癒されるんだよね。


2人分の注文を済ませたところで、朋子ちゃんは本題を切り出してきた。

「あのね、実は直樹くんに聞いて欲しいことがあって。」
何でも聞くよ?という意味をこめて首を傾ける。
「あたしね、もう聞いてるとは思うけど……明君のことが好きだったの。」
好きだ…った?過去形なの?期待を込めて彼女を見つめ返す。

「…やっぱりね、そんな急には吹っ切れはしないんだけど。でもちゃんと前に進まなきゃって思ってて。」
…まだ好きなんだ。
本当に明何でだよ!?
こんなに一途な子…ポーっとしてたら俺が取っちゃうぞ?

「それで直樹くんに相談なんだけど…香と明くんてどうだと思う??」

「へ?」
かおりとあきらくん?どうだとおもう?



…?

「えっあのそれってどういう…?」
意味なの?と彼女の顔を見つめると、朋子ちゃんは慌てたように付け足した。
「カップルとして、お似合いじゃないかな〜って思うんだけど…。」
かっぷる。…カップル??

「カップルって恋人同士ってこと?」
頷く彼女。
「いや、あの、えと…あのさ、」
香と明が恋人に。
ビジュアル的には申し分ないよな。
いやっでも、お互いの気持ちの了承を得ないと恋人にはなれないわけで…
えっ、なんで2人の恋の相談を部外者の俺達がしてんだろ。

「…朋子ちゃんはどうしてそんなこと思ったの?」
仮にも明のこと、まだ想ってるんでしょ?

「それは、…あの2人が両想いだって思うから。」
テーブルの上に落としていた視線を、彼女は俺に合わせた。

「明くんには幸せになって欲しいの。」
迷いの無い瞳で俺にそう告げる朋子ちゃん。


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