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恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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nao 47

なんで俺の周りには気使うヤツが多いんだろ。

ナナコと別れた去年の春、俺は抜け殻みたいで。

その時もみんなそのことは触れずに、ただ側にいてくれた。

そのことに俺が気付いたのは、ずっと後からのことだったけど…


「俺さ、もう大丈夫だから。」

「…いいなって思うヤツもできたし。」

直樹の目をまっすぐに見つめて、そう伝える。

きっと直樹は誤解したままだろうけど、それでも良かった。


─お前がいてくれて良かったよ。
心の中でそう呟くと、
「シャワー浴びてくるわ。」

少し恥ずかしくなった顔を見られないように風呂場に向かった。


…ザー…

熱いシャワーを頭から浴びる。

直樹も入るだろうから、手短に全身を洗って出る。

「直樹ー?」

「お前も入るだろ。」
タオル置いとくぞ、と言いながら部屋に戻るとアイツはいなくて。

帰っちゃったか?

…なんだか胸騒ぎがした。

これまで直樹が何も言わずに帰ることなんてなかったから。

ちょっと前までアイツがいたところに腰を下ろすと、まだアイツの温もりがあって。

「俺なんかした、かな…」
さっきした会話を思い返す。

さっき俺、大丈夫だって言って。

後は、

…!

─気になるヤツもできたし

あれか?

それしかない、よな。

でもアイツ知ってたみたいだし。

「分っかんねぇ〜」

一人で悶々としていると携帯が鳴る。

「はい。」

「明さ、メンタイコとオカカどっち好きだっけ?」

「直樹?…え、今どこ?」

「コンビニ来てた。腹減っちゃってさ…」

「じゃメンタイコで。」

「了解、じゃまた。」

耳元から聞こえる通話終了音が、やけにおかしくて。

一人で笑ってしまった。

馬鹿みたいだな、オレ。
なんでアイツのことになると、こう余裕が無くなるんだろ。

アイツの一挙手一動作に、過敏に反応してしまう自分がおかしかった。


アイツが帰って来る前にお湯を沸かして、インスタントの味噌汁を食べれる用意をしておく。

玄関のチャイムが鳴ってドアが開く。

「お帰り。」

「ただいま?」

なんか変な感じだね。と、笑いながら俺にコンビニの袋を差し出すアイツ。

「新妻の気持が分かったよ。」

と俺も笑って返す。

「直樹は風呂入んなくて良かった?」
先に入っちゃえよ、と言うとアイツはすまなそうに頷いて、風呂場に入って行った。

「ったく、いつまでたっても気使うんだから。」

と呟いてなんだか笑顔になる。

コタツの上にアイツが買って来たものと味噌汁が入った器を並べる。

あっ、それとお茶、だよな。

俺って良い嫁になれそうだな…と思って苦笑する。

一通り準備が済んで、満足したところでアイツが風呂から上がってきた。

同じシャンプーを使ってるはずなのに、なんでアイツが使うといい匂いに感じるんだろ…

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