nao 5
「お前らのサークルって、本当飲み会好きな。」
俺の呆れた感じが伝わったのか、アイツは携帯から顔を上げた。
「明もサークル入れば良かったのにな…」
あぁ。何度そうしようかと思ったことか、だよ。
でも直樹のサークルは基本はテニスサークル。
未経験者の俺には敷居が高かった。
「な〜、入っときゃ良かったよ。お前のサークルって可愛い子多いんだろ?」
本当はお前ともっと一緒にいたいって思うからだぞ。…分かってんのか?
言葉にできない想いをしまいこんで軽口をたたく。
「そうだね、可愛い子いるよ。」
ピキ。
またやっちゃったよ…。
なんで自分で自分の首しめてんだろ。
「マジかよ。じゃ今度紹介してもらわなきゃだな。」
冗談に取られる用に笑いながら言う。
アイツもそれを分かってか笑いながら、じゃ聞いてみとくよ。とかなんとか言ってた。
俺の中のグチャグチャな気持ちなんかには気付くこともなく。
アイツは俺の世界で一番優しくて残酷なやつだ。
どっちも無意識なんだから、どうすることもできないけど。
―アイツを意識し始めたキッカケ、それは4月のことだった。
アイツは普段はクールなやつで。人と付き合う時も一定の距離を保つやつだった。
でもあの日―
「直樹、大丈夫か?」
アイツは久しぶりに飲みすぎたようで、グデングデンだった。
「あきら〜、おれな…酔ってるんだ。」
いつものようにサークルでの飲み会の後、俺の家までタクシーで帰ってきたアイツ。
電話で連絡を受けてた俺は、いつもと違うアイツが心配で、外に出て待ってたんだ。