nao 39
アリサを見送って、今度はちゃんと鍵をかけると、腕を伸ばす。
いくらアリサと言っても、女の人と自分の家に何日も一緒なんてことは久しぶりだったので、なんだか肩が凝って。
やっぱり一人は気楽でいいわ。
溜った洗濯物はアリサが適当に洗っておいてくれたらしく、俺がやるよりキレイになっていた。
部屋の中もいつもより少し片付いている気がする。
アリサも女の子だもんな、と変なところに感心してしまう。
ちっちゃいころから見てきたせいか、アリサのことも自分と同じと考えてしまうみたいで。
アリサの女の部分を目にするとなんだか奇妙な気分だった。
学校も休んじゃったし、明日からちゃんと行かなきゃな。
授業のことを直樹に聞こうと携帯を手に取る。
3日ぶりに開いた携帯電話にはいろんなやつからのお見舞いメールが来ていて。
一番多かったのが直樹とトモコからだった。
二人で一緒に送ってるのか?と思うくらい内容が似ていて、思わず笑ってしまった。
メールをくれた人達に一通り元気になったことを伝えると、アイツに電話をかけた。
「明?」
「おぅ、元気にしてたか?」
「…元気そうで安心したよ。」
心底ホッしたような声で言われると、こっちが申しわけなくなって。
「ごめんな。」
思わず口から出た。
「ほら、俺行くって言ってて行けなくてさ。」
「熱あったんだから仕方ないじゃん。
それに…悪くないのに、いちいち謝るなって言ったの明だろ?」
「そうだっけ?」
まったく覚えてない俺に、アイツは、そうだよ。と言って笑った。
休んでいた課題のことを聞くと、プリントを今から持って来てくれると言うので、そのことばに甘えることにした。
直樹が来る前に、3日分の汚れをシャワーで洗い流し、久しぶりにちゃんとした服を着た。
ベルトがいつもよりもきついところで締まる。
少し痩せたか?
玄関のチャイムが鳴る。
俺がドアを開けてやると3日ぶりの直樹が立っていた。
「おはよ。」
入れよ、と言ってドアから手を離すと、お邪魔します。と言ってアイツは部屋に上がってきた。
いつも通りの直樹。
今日も香水を付けているみたいで、家の中に直樹の香りが広がった。
コタツに座って、授業の話を聞く。
課題が一個出たようだけど、そんなに面倒じゃないこと。
バイト先にアリサが友達と来たこと。