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恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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nao 34

改札を出てからも放っておかれたことが許せないようで、アリサはいつもより早足だった。

しかしそこは身長差があるからか、俺は難無く着いて行けたが。

直樹のバイト先が目で確認できるようになって、初めてアリサは口を開いた。

「…ねぇ、髪変じゃない?」

心配そうに俺を見つめる顔は、さっきまでとは違い女の子の顔だった。

「…あぁ。いつも通りだぞ?」
そう言うと安心したのか、それじゃアキラ先に行って?と言って俺の後ろを歩き始めた。

好き、なんだなぁ。と少し感心して俺は店の中に入る。
平日のまだ早い時間だからか、客はまばらで。

俺たちはすぐにアイツを見付けることが出来た。

当たり前だけど制服姿で営業スマイルをしている直樹。

なんでこんなに上手に着こなせるんだろう…
見とれていた自分に気付いて、ハッと後ろを振り返ると、そんな俺にアリサは気付く余裕がないみたいで。

直樹に釘付けだった。

「お兄さんコーヒーちょうだい。」

客を装ってカウンターで注文すると、

「かしこまりました。
ミルクと砂糖は、って明?」

気付けよ、と笑いながら

「バイト慣れた?」

と尋ねると、まだ全然と苦笑いをされた。

「あ、アリサちゃんも来てくれたんだ。」

直樹が後ろでモジモジしていたアリサに気付いたらしい。

アリサは本当に緊張しているみたいで、顔を赤くしながらうなづいただけだった。

「アリサちゃんも何か飲む?」

爽やかな笑顔に見とれていたのか、アリサは注文のことをすっかり忘れていたみたいで。

あまりのテンパリ具合に俺がフォローを入れる。

「お前アイスコーヒー好きじゃなかった?」

「あ、うん。
そうだった、じゃそれお願いします。」

やっとそれだけ言うと、アリサは余裕が出たのか。

直樹が準備する姿を目で追っていた。

「本当、お前俺の前と全然違うのな。」

俺が呆れたようにそう言うと、

「だって、なんかあのオーラからしてアキラと違うんだもん。」

オーラってなんだよ、と笑っていると

「アキラくん!」

やっぱり朋子もいたか…。
なるべくならこの二人のツーショッとは見たくなかったんだけど。
「やっぱり見に来たんだね。」

と話しかけてきた朋子の視線が、俺の隣で止まる。

「あ、今日は二人…なんだ。」

一瞬だけど、朋子の笑顔が歪んだ気がした。

「…コイツが直樹の制服姿見たいって言うからさ。」

「ちょ、アキラ!言わないでよ」

恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら俺を叩くアリサを見て、朋子は勘違いに気付いたみたいだ。

「二人はいつから?」

「んー、もう10年経つか?」

「中学の時からだよ。昔からアキラは顔が怖くてさ。女子の大半近付けなかったもん。ね?」

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