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恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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nao 27

座席に座ってぼんやり外を眺める。

秒刻みで変わって行く景色を目の端で感じながら、俺の心はアイツのところにいた。


無性にアイツに会いたかった。
電車から降りると、プラットホームで見覚えのある後ろ姿がいるのに気付く。

「直樹!」

「…明?おはよ」

こんな時間に珍しいな?というアイツの言葉を軽く流しながら、二人で改札を出る。

「直樹こそ珍しくないか?こんなに早くに学校来るなんて。」

明日は雨だな。と俺が茶化すと、今日は明に話があってさ。
と、いつになく真剣な顔で返された。
良くない話だって分かっていても、俺はアイツから目が反らせなかった。

「…家、来るだろ?」
さすがにこの格好じゃ学校行けないし。と笑うと、アイツも笑ってくれて。

いつもより家までの道のりがやけに短く感じた。


鍵を空けて中に入ると、とりあえずシャワー浴びてくるわ。と言って風呂場に逃げる。


熱いシャワーを頭から浴びながら、俺はビックリした演技と笑顔の練習をしてみる。

鏡を見ると、今にも泣き出しそうな自分が映っていて。
パンッ、と頬を両手で叩いて気合いを入れる。

いつかはこんな日が来るって思っていたし。
それにもし、アイツに彼女が出来たって俺たちの関係は変わんないはずだろ?

そう自分にいい聞かせてシャワーを止める。

体を拭いてジーパンとティーシャツに着替えると、アイツが待つ部屋に向かった。

「お前も飲む?」

もちろん冷蔵庫から出したのはアイツの好きなあのお茶だ。

アイツの返事を待たずにグラスを二つ持ってコタツの上に置く。

「ありがと。」
俺は、アイツのこの笑顔が見たいからこのお茶を買っていると言っても過言ではなくて。

それを見れただけで買っといて良かった…って気分になるんだ。

なぁ直樹、お前知らないだろ?

俺がこんなこと思ってるって。


「でさ、話なんだけど…」

知ってたら言えないもんな。

「俺、バイトしようと思ってるんだ。」

こんなこと絶対 

「実はそこのバイト先に、」

言わないで―

「気になってる子がいるんだ。」

恥ずかしそうな顔で俺にそう言うアイツは本当にキラキラしていて。

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