nao 24
このリングは直樹のだ。
問題は、なんでアイツが無くしたはずのリングを、あの子が俺に渡したかってことだ。
もし、アイツがどこかで落としたのを拾ったんだったら本人に直接渡すだろう。
それに─あの子は一体誰なんだ?
俺のこと知ってたのか?
指輪を掌の上で転がす。
直樹はあの子のこと知ってるんだろうか。
今更になって、渡してくれた子の顔をしっかり見ておかなかった事が悔やまれる…
ピー…と言うヤカンの音に考えを邪魔されて、大股で台所まで歩いて行くとガスを止める。
アイツに直接聞くしかない、か。
今俺が考えたって分かんないもんは分かんないしな。
とりあえず腹ごしらえだ。
最近俺は韓国の辛いラーメンにハマっていて。
台所の棚の中には、常に3〜4食は常備してある。
いつだったか、直樹と一緒に食べようと思って作っていたら、アイツは臭いだけでギブアップしていた。
美味しいのになぁ。
お湯を入れたカップラーメンをコタツに持って行くと、テレビをつける。
今の時間だと、深夜のサッカー番組がやっているはずだ。
もうすぐ始まるW杯の特集で一色の番組を眺めながら、俺は今日一日放り投げていた携帯のことを思い出した。
どこ、やったっけな。
たしか電源も切っておいたはずだ。
食べかけのラーメンをコタツの上に乗せたままにしておいて、部屋を探し始める。
記憶が外れていなければ、ロフトの布団の中に埋もれているはずだ…
階段を登ってロフトに上がると布団を引っ張り出す。
「あった」
心なしか声が弾む。別に誰から来ているとも分からないのに、携帯を開くときにいつもワクワクするのは何でなんだろう。