nao 21
大体何で俺なんだよ。
どう考えてもアイツのがいいだろ?!
…でも、まだ何か言われた訳じゃないしな。。
俺の勘違いってこともある。
─最近良くメール来るんだ。
─ウチのとこでバイトしたいって
トモコの言った言葉が耳から離れない。
好き、なのかな。
アイツ…。
俺も女だったら良かったのに。
そしたら俺だって……
込み上げてくる想いに蓋をしようと、コタツの中で丸くなる。
スタートラインにも立てないもどかしさが俺を包む。
どの位そうしていたんだろう。
あのまま寝てしまったみたいで、コタツから顔を出すと、外はもう真っ暗だった。
モソモソと起き出すと、カーテンを閉める。
ぐ〜…
腹減ったな。
トモコと食べたっきりだから、もう8時間は何も食べてない。
こんな時でも腹が減ることが、なんだかおかしくて。
「コンビニ、行くか。」
自分にそう言って動き出す。
財布だけ持つと外に出た。
外は湿気でジトっとしていて気持ちが悪い。
俺が歩くサンダルの音だけが夜道に響いて、独りを実感した。
「いらっしゃいませ〜」
店員の脳天気な挨拶が今はやけに耳障りだ。
何もかもが気に触る。
きっと今、誰かにケンカを売られたら、俺は買うだろう。
適当にオニギリを手に取るとレジに向かう。
「…あの」
何だよ。呼んでんぞ。店員いないのかよ。
「あの、」
だから店員どこ行ってんだよ。