nao 20
早く着きすぎちゃって。そういうトモコは結構待っていたようで。
なんだか申し訳なくなった。
「何食う?」
当然学食で食べるものだと思って歩き出すと、トモコは行きたい店があるみたいで。
いい?と聞かれたら、うん。と頷くしかないわけで。
トモコが連れてきてくれたのは、学校から歩いて3分くらいのところにある、小さいカフェのような店だった。
「ここね、一回来てみたかったの。」
そういうトモコはかなり嬉しそうで。
そんなところに初めてくるのが俺となんかでいいのか、と俺は思っていた。
ここのオムライスがすっごく美味しいの。とトモコが教えてくれる。
…あれ?
「初めてじゃないの?」
4、5回目かな?と俺の質問に答えるトモコ。
あれ?
「他にもねー、このパスタとか美味しいよ?」
にこやかに俺に笑いかけるトモコを見て、俺はやっと気づいた。
─こういう場合どうしたらいいんだろう。
そんなに恋愛経験豊富でもないし。
そんなことを考えていたら、
「そういえばナオキくんがね、」
というトモコの言葉が耳に飛び込んできた。
「ナオキくんが、ウチのとこでバイトしたいみたいで。」
最近よくメールくるんだぁ。
と無邪気に俺に語りかけるトモコ。
それはバイトがしたいんじゃなくて、単にお前と一緒にいたいだけだって。
と言ってやりたかった。
──────
拷問にも近いような30分間がやっと過ぎて。
俺は友達と約束があるんだ、と言って代金だけ払うと、そそくさと店を出た。
店から出て、学校へは戻らず家に帰って来た。
「ど〜すりゃいいんだよ。」
ロフトに登るのも面倒で、コタツに潜り込む。