nao 3
その頃はまだアイツに対する気持ちに気付いて無かったが、それでもなんだか気恥ずかしかった。
思えば、アイツのこと。ずっと好きだったのかもしれない。
男だから、とか。引かれるだろ?とか考えて知らない間にブレーキを踏んでたのかもしれない。
頭の中で、そんなことを考えながらレポートに取り組む。
残念ながら、俺も直樹も頭はそんなに良くない。
アイツは頭良さそうに見えるんだけど。
ちなみに今は俺の家。学校から歩いて10分くらいで着く俺のアパートは、友達の間で溜り場になっていた。
秘かに俺は、アイツがいつ来ても困んないように部屋をキレイに保つようにしていた。
だからアイツは、俺のことを綺麗好きなやつだと思ってるはずだ。
「んー…駄目だ分かんない。明どう?」
アイツは基本的にポーカーフェイスなんだが、よく見てると感情が現れてるのが分かる。
眉の間に皺が少し寄ってるのは、困ってる時に見せる表情の一つだ。
「そこなら分かったぞ?ほらコレ。」
やることはちゃんとやってるんだ俺。
「マジで?助かる…本当、俺明がいないと駄目な気がするよ。」
サラっとそんなこと言うもんだから、俺は反応に困る。
ちょっと前だったらなんだかんだ言えたんだろうけど。
ホストなんかやったら、この天然な魅力に貢ぐヤツがいっぱいいるんだろうなぁ…とボンヤリとアイツを眺めていた。