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恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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nao 18

トモコに一言かけてから帰ろうかと思ってキョロキョロしていたら、後ろから声がした。

「ありがとう」

お礼を言うのは俺の方だろ。と思いながら振り返ると、いつの間に私服に着替えたトモコがいた。

「もう上がり?」

今日は朝からバイトだったんだよー。と疲れた表情を作るトモコに、思わず笑ってしまった。

さっきまであんなに張り切ってたのに。
そのギャップがなんだか面白かったんだ。

「今から学校?」

あぁ、と頷く俺。
暇だったら映画に誘ったのに。
と残念そうにつぶやくトモコがなんだか可愛らしくて。

「何の映画観たかったの?」

地下鉄までの道を並んで歩きながら聞くと、トモコが俺の肩くらいしか身長がないのに気づく。

トモコが答えたのは、さっき俺が観てきた映画のタイトルだった。

俺が今日観たことを話すと、結末は言わないでね。とお願いされた。
地下鉄に乗り込むと、トモコはこの間よりもよく話をしている気がした。

行きは一人だったのに、帰りはトモコと一緒なことになんだか俺は違和感を覚えた。

 
「ねぇそういえば、あきらくんの友達にナオキっていう人、いる?」

いきなりアイツの名前が出てきて俺は正直かなり焦った。

「いるよ?」

なんで?って聞いたらきっと後悔する。

そんな予感がしたんだ。
俺のそういう勘はよく当たる。

この時も例外じゃなかった。
「そっか。」

何かを考え込むトモコに、俺は初めてイライラした。

聞きたくないけど、俺は聞いてしまうだろう。

「直樹がどうかした?」

「ん、こないだちょっと会って。それで話してたらあきらくんの友達って聞いてね、それで聞いてみたの。」

こないだ?

俺はまじまじとトモコを見つめた。

あの時の記憶がフラッシュバックする。

スーパーに行こうとした時に、いた女。

それからは、今度は俺のほうがベラベラと話した。
早く一人になりたくてしょうがなかった。


─ 気になるヤツ、出来たかも


アイツの言葉が何度も頭の中をグルグル回った。
どうやって家までたどり着いたのか。

手にしたノートから、俺は今日の授業にちゃんと出たことを知った。

何も考える気力が湧かなくて。
シャワーだけ浴びて寝ることにした。


今ならあの言葉に共感できるかもしれない。

─ 今日の雨は、俺の代わりに泣いてくれてる。

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